癌の看取り、緊急往診について医者に尋ねる

『ヤブ医者』とか『有能な医者』という議論ではない。

『医者とはー』、『医者としてー』などという議論をするつもりはありません。更に言えば、『癌患者さんの最期を看取れば、良い医者なのでしょうか?』、『寝たきり患者さんの往診や、急変時に緊急往診を行うことが良い医療なのでしょうか?』

当院は、『循環器内科』ですが、『癌患者さんの看取り医療』、『かかりつけ患者さんの依頼による緊急往診』、『認知症患者さん、寝たきり患者さんへの在宅訪問診療』など、全て行なっております。

看取り医療』、『緊急往診』を行う医師が優れているわけではありません。

患者さんの依頼に応じて、『救急対応』や『緊急往診』を行いますが、これは当院の『経営方針』であり、『経営理念』です。

地域医療を支える』ため、当院は、『看取り医療』や『緊急往診』に応じていますが、応じていない医療機関が悪いわけではありません。

経営方針』、『経営理念』の違いですので、良い、悪い、ということではありません。

問題は、『患者さん』に対して、『困ったらいつでも言ってきなさい。』、『何かあったら電話しなさい。』と、頼り甲斐のある雰囲気を醸し出し、優しい言葉をかけて、『かかりつけ患者さん』として検査、処方を行い、数年〜十年以上の長い期間、診療報酬を得ます。

しかし、いざ、緊急時、急変時、癌が進行した場合、『看取り医療は行なっていない』、『緊急往診が忙しくて出来ない』、『〇〇病院に行きなさい』、『□□クリニックの□□先生は、往診してくれる』と、言い放つ医者が多いことが問題です。

普段、安定している時期には、甘い言葉をかけて検査をしまくり、『かかりつけ患者さん』の病状が悪くなった途端、『救急時や急性期』、『リスクが高く』なった途端、逃げる。これも『経営方針』、『経営理念』なのでしょうが、はっきり、当院としては迷惑です。しかし、

『救急時に『緊急往診』をすると明言していない』

『癌の終末期、『在宅訪問診療』をするとは言ってない』

『最期まで家で看取ります、と約束していない』

こういう展開になります。確かに、確約もしていないし、明言もしていないので、約束を破ったわけでも、違法なことを行ったわけでも無いわけです。

ただ、『かかりつけ患者さん』は、『いつでも言いなさい』、『困ったら電話しなさい』って言われたら、期待してしまいます。なぜなら、『医者は、社会的に信頼ある職種であり、頼られる職種だからです

当院から車で20分間程度の距離の『クリニック』は、院長が60歳前半の循環器専門医ですが、『思わせぶりな発言』、『いつでも電話しなさい』と患者さんに言いつつ、心エコー検査、24時間ホルター心電図などの検査を予約で行いまくり、『寝たきり』、『癌の終末期』、『認知症』になった途端、

『うちは、循環器だから癌は診てない』、『外来診療が忙しくて往診はしていない』と言い放ちます。

『ブラック先生が往診をしているから、ブラック先生の『クリニック』に行きなさい』(勝手なこと言うなよ。)

ひどい時は、『ご高齢な方の便秘』でさえ、他の『クリニック』を名指しで受診させて、診療を引き受けません。

結局、リスクが低く、お金になる時はニコニコして、『リスクが高い急性期』、『昼夜、いつ呼ばれるか分からない看取り医療』、『便秘、座薬投与など手間のかかる医療を回避』するわけです。

結果、先生に期待していた『かかりつけ患者さん』は、『残念な思い』、時に『悲しい思い』をされます。『〇〇先生は、診てくれると思った』、『〇〇先生は、最期まで診てくれると思っていた』との感想です。

契約』を交わしているわけでもないですし、この方法がこの先生の『経営戦略』であり、『経営理念』ですので、別に悪いわけではない。

往診』、『看取り医療』について確認せずに通院していた『患者さん』が悪い。。。って思いますか?ブラックは思いません。『思わせぶりなことしやがって』って思います。『かかりつけ患者さん』が残念な思いをしないため、

かかりつけ患者さん』になる前に『院長先生』に確認された方が良い点。

もし、癌の終末期になった場合、家で最期の時を迎えたいと希望した場合、可能な限り在宅での医療を行なってもらえるか?

可能な限りと言う理由は、疼痛が強すぎて、在宅で診ることが必ずしもご本人、ご家族の幸福、尊厳遵守とならない場合があるからです。そのような病状の時は、ご本人、ご家族とご相談し、ご了承の上、大学の『緩和ケア病棟』に入院してもらいます。(今まで、感謝はされても1例も文句を言われたことはありません。たまたまかもしれませんが。。。)

もし、高熱で動けない場合などの際、緊急で往診してもらえるのか?

認知症、寝たきりになった場合、『在宅訪問診療』を行なってもらえるのか?

血液検査、エコー検査などは、どれくらいの頻度で行うのか?(経営状態に応じて、検査の頻度を上げるクリニックがあります。)

更にポイントですが、この質問をする時、患者さん一人でしないことです。可能でしたら、奥様かご主人、子供さん、ご家族同伴で尋ねることがポイントです。

緊急往診』、『癌の看取り』などの『在宅医療』、『救急対応』を『経営方針』、『理念』に掲げていない先生は、さすがに『ご家族』の前で、『いつでも言ってください』とは言わないはずです。(格好つけて言うかもしれません。そこまでの『カス医者』が居るんですよ、これが。。。ほんと、残念。。。)

想定される先生の返答

1)大丈夫ですが、病状に応じては紹介するかもしれません。

2)診察の状況を見て、柔軟に対応します。

3)血液検査、エコー検査、内視鏡検査などは、結果を見ながら、行う時期を一緒に考えましょう。

こういう漠然とした解答と、病状、自院に診察の状況などを返してくるはずです。でも、こういう返答の先生は、高確率で、『緊急往診』、『癌の看取り』を行いませんし、血液検査も『血糖が気になるので2ヶ月後に見せてください』、『腎臓が心配なので、3ヶ月毎に見せてください』って言うと思います。

2ヶ月後に採血が必要な血糖って何だよ?って思いますし、腎臓も透析寸前の患者さんを診ていないくせに、検査ばっかりする予定でしょ。

最終的には、その『クリニック』の先生に往診をしてもらっている患者さんが居られるか?在宅で看取ってもらった患者さんのご家族が居られるか?など、近隣での評判、評価を確認した方が良いです。

当院では、

大学、近隣病院からの紹介で、eGFR:10以下、正に『いつ、緊急透析になってもおかしくない患者さん』を診ていますし、『緊急往診』の依頼があり、外来患者さんが多い場合は、『訪問看護師さん』に先に『訪問看護』を行なってもらい、外来診療の隙間や昼休みに『緊急往診』しています。

病状があまりに悪い場合には、『訪問看護師さん』からの症状の報告、バイタルサインを確認し、救急要請して、連携先の大学病院、近隣病院に紹介します。

決して、電話での冷たい対応はしないように心がけています。

曖昧な返答や、視線を逸らす、などの信用できない点を感じた場合には、『かかりつけ医』として選ばない方が良いです。この点は、『クリニック』が繁盛していようが、『かかりつけ患者さん』が多かろうが、先生の年齢、経歴など、全く関係ありません。『患者さん』が多い場合には、先のことを考えていない『患者さん』が多いだけ可能性すらありますので。。。

良い、悪いではなく、長い年月、通院する『かかりつけ医』は慎重に選ぶべきだからです。

高齢化社会の現在、『緊急往診』、『癌の看取り』を行なっている医療機関の方が、『経営戦略』は強いはずなのですが、『市場(患者さんやご家族)の評価』が追いついていないのか?評価が低すぎるように感じています。

大学、民間病院で患者さんの紹介を受ける医者として。

徐々にではありますが、『大学病院』、『民間病院』などの病院に勤務しながら、『クリニック』を開業する先生が増えてきました。

医者としての経験が増え、見習うべき先輩、後輩への指導など、医療の切磋琢磨が生まれるのは良いこと。

手術、内視鏡手術や、CT、 MRIなどの検査も進歩しているので、先端医療と身近であることは良いこと。

病院に入院、搬入される重症患者さんを診ることは、臨床医としての能力を底上げする。

20年前、大学病院、附属医療センター、研究室所属で、『クリニック』を経営していると、『欲張り』、『何がしたいのか?』、『周囲の理解が得られない』時代でした。親戚からも、『いい加減、クリニックに専念しろ』と怒られていました。

今では全く珍しくない状況になりました。『病院の先生』の気持ち、『病院の看護師さん』の気持ち、『病院に通院する患者さん』の気持ち、色々なことが分かるので、辛い時期もありましたが、良かったと感じています。

病院』側の医者として思うこと。

診療する能力がないのに、患者さんを引っ張らないでほしい。なるべく早く、紹介してほしい。

『関節リウマチ』、『心不全』、『弁膜症』、『消化管出血』などです。ご紹介の患者さんは、病状が回復して安定した場合には、再度、紹介してくださった『クリニック』に戻すように努めていますので、迷わずに直ぐに紹介してほしいです。

消炎鎮痛剤、鉄剤の注射、利尿剤などを処方しても根本原因を治療しなければ病態の改善はありません。引っ張る先生からは、直ぐに逃げましょう。(患者さんは、判断が難しいでしょうね。。。)

逆に、気管支炎、膀胱炎などの感染症は、症状が重篤でなければ、まず、『クリニック』で初期治療してほしい。

何でもかんでも大学、大病院に紹介する先生が居られます。血液検査、レントゲン検査、検尿検査などを行い、感染源を同定して、初期治療を行なってから、それでも改善しない、悪化が懸念される患者さんを紹介してほしいです。

大学病院、大病院、教授の外来に紹介することで、箔を付けようとする医者がいます。こういう医者からは逃げましょう。

かかりつけ医』の能力のレベル差が大きくなっています。患者さんは、安易に『かかりつけ医』を選ばず、焦らず、じっくりと能力を見定めた方が良いと思います。