鉄剤の注射 アナフィラキシー、死亡報告もあります。

注射をするから『ヤブ医者』というわけではありません。

内科クリニックばかりではなく、皮膚科、外科などでは、注射を行うことは多々あります。注射には、色んな種類がありますが、多くは『静脈注射』です。

静脈注射』:肘の内側、青い血管(静脈)から行う注射のこと。この場所から採血も行います。

皮下注射』:皮下に注射します。肘頭から5センチ上、腕の外側に注射します。神経、血管の少ない場所です。インスリンは、腹部、大腿に皮下注射することが多いです。

筋肉注射』:コロナワクチン投与の場所で有名になりました。腕のダラリと落として、肩峰と呼ばれる肩の先端から真っ直ぐに直線を引き、脇の高さと交叉する場所に注射をします。神経、血管の殆どない場所です。

関節内注射』:外科、整形外科で行います。多くは、ご高齢の患者さんの変形性膝関節症に対して行われます。

動脈採血』:血液中の酸素の濃度や、二酸化炭素の濃度、体のアルカリ性、酸性などを判断する際、動脈血を採取しますが、救急診療科、呼吸器内科、循環器内科で行うことが多いです。

他にも、眼科の眼球注射や、歯科の注射も含むと、注射の種類は多種多様です。クリニックを受診して、血液検査や注射を行う場合には、殆どが『静脈注射』です。

以前にも記載いたしました通り、注射を行っても大して儲かりません。『ヤブ医者』は、、多様性がなく、新しい医療、特別な医療、特殊な検査を行う能力がないので、やたら、血液検査と注射を行い、金を稼ごうとします。

静脈注射』=32点=320円です。これに薬の費用を載せても、1000円前後にしかなりません。『心臓超音波検査(心エコー検査)』=880点=8800円、『24時間ホルター型心電図』=1750点=17500円、『心電図検査』=130点=1300円です。

注射を頻繁に行っても、大して儲からないって分かると思います。もちろん、患者さんの治療として必要であれば、当院でも注射を行いますが、その殆どが、喘息発作に対するステロイドの『静脈注射』です。

安易な鉄剤で大変なことが起きている。

ヤブ医者』って、まず、病気の診断基準をきちんと把握していません。次に、病気の治療ガイドラインを守りません。最近、多いのが、『鉄欠乏性貧血』に対する治療トラブルです。

鉄欠乏性貧血』は、若い女性に多いです。生理不順、月経過多、鉄の摂取不足などが原因のことが多いですが、まず、

鉄欠乏性貧血』を診たら、原因を考える。

10歳代〜40歳代までの女性で、『鉄欠乏性貧血』を繰り返す場合には、鉄剤の投与を繰り返しても思わぬ病気を見落とすことがあります。

子宮内膜症、子宮頸癌などの婦人科系疾患

胃潰瘍、潰瘍性大腸炎、クローン病、大腸癌などの消化器系疾患

出血を繰り返しているから、『鉄欠乏性貧血』になるので、出血源を特定することが大事です。鉄材は、サプリとして販売されていますが、『鉄欠乏性貧血』がある場合には、内科を受診した方が良いです。

鉄欠乏性貧血』に対して鉄剤の内服薬で治療を行っても構いませんが、頻繁に『鉄欠乏性貧血』繰り返す場合には、婦人科の受診を勧めたり、便中ヒトヘモグロビン検査(検便)を行い、大腸、小腸などの下部消化管の出血がないか?確認したり、上部消化管内視鏡(胃カメラ)を勧めて、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃癌などの出血の原因となる疾患がないかを精査します。(鉄剤を内服してしまうと、便中ヒトヘモグロビン検査(検便)での出血判断ができなくなりますので、要注意です)

繰り返し、貧血を起こす当院通院中の患者さんは、既に此処まで調べているので、鉄剤を処方して、3ヶ月〜6ヶ月毎に採血して、治療効果を判定します。

問題は、『鉄欠乏性貧血』を見つけて、簡単に『鉄剤の注射』を行う『ヤブ医者』の存在です。

鉄欠乏性貧血』になる原因をしっかりと調べる。

ガイドラインに従って、まずは鉄剤の内服から開始する。

鉄剤の投与でも改善しない場合には、再度、出血源の精査を行う。

鉄剤の内服でも貧血の進行が止まらない『鉄欠乏性貧血』や、内服できない疾患の患者さん(舌癌の放射線治療中とか、腹部の手術で内服困難とか)に限り、『鉄剤の注射』を行う。

ですので、簡単に『鉄剤の注射』って、行わないです。ブラックは、クリニック開業20年、25年目の医者ですが、クリニックで鉄剤を投与したのは、舌癌の化学療法中、食道癌の終末期などで、大学病院、病院から依頼された時だけです。(大学、病棟では、使用歴は多いです。)

クリニックで『鉄剤の注射』を警戒する理由。

鉄剤の注射』で『アナフィラキシーショック』で心肺停止、ショックになり、訴訟となったケースが結構、報告されている。

鉄剤の注射』で『薬剤性肝障害』、『重篤な肝障害』を幾例も経験している。

鉄剤の注射』は、実は『抗生剤の注射』と同等、もしくは、それ以上に医療訴訟、トラブルに発展しているケースが多いです。しかも、『鉄欠乏性貧血』の治療ガイドラインでは、まず、鉄剤の内服薬を投与して、それでも改善が乏しい場合や、貧血の進行が止まらない場合、また、鉄剤の内服が困難な場合に限り、『鉄剤の注射』を認めているわけですから、

鉄剤の注射』でショックになったり、肝障害が起きたケースは、ほぼ全例、鉄剤の内服薬を処方するステップを踏んでいない。

訴訟になっても、治療ガイドラインを守っておらず、十分な説明も行っていないので、ほぼ、『医師の責任』を問われます。

ヤブ医者』:『鉄欠乏性貧血』ですね。注射に通ってください。

とりあえず、逃げてください。危ないですから。

鉄剤の注射』って、結構、売れています。ってことは、世の中に使用している医者が多いってことだと思います。大学病院、病院などで、『術後の貧血』や『血液疾患』、『消化管出血で入院中の患者さん』などに使用するのは問題は無いですし、『アナフィラキシーショック』にも対応できますが、一般のクリニックで行うのは、危険です。

陸上選手、部活で陸上をしている子供に『鉄剤の注射』を行う『ヤブ医者』が居ます。

日本陸上競技連盟』から、『不適切な鉄剤の注射の根絶を目指す』って、2019年に提言が出ています。『日本陸上競技連盟』が提言を出すって、もう、『ドーピング』に近い状況まで『鉄剤の注射』が行われていたってことだと思います。推測ですけど。。。

特に、中学生、高校生で、『マラソン』、『駅伝』を行っている子供さんに対して、

1)治療適応のある『鉄欠乏性貧血』であるのか?

2)治療適応のある『鉄欠乏性貧血』であれば、まずは内服薬から開始する。

3)内服薬を開始しつつ、食事療法の見直し、生活指導、運動量が過剰で無いか?保護者に確認する。

せめて、外来診療中、これくらいは気にしないと危険です。中学生、高校生って、『潰瘍性大腸炎』、『クローン病』などの『炎症性腸疾患』が増えてくるころです。例えば、微熱がないか?血便がないか?便中ヒトヘモグロビン検査(検便)を行った方が良いです。目に見えない出血があり得ます。

陸上競技のタイムが伸びないので、貧血の注射をしてもらってこい』って言うバカな体育教師が居ます。

当院にも中学生、高校生の陸上競技を頑張っているお子様を連れて、来院されるお母様が多いです。幸い、治療適応のある『鉄欠乏性貧血』はありませんので、検査結果をお話しするだけですが、どうも、『部活の顧問』、『体育教師』が受診をけしかけているようです。

日本陸上競技連盟』にチクってやろうかと思いますよ、ほんと。。。

ヤブ医者』に引っかかって、『鉄欠乏性貧血』って言われて『鉄剤の注射』で『アナフィラキシーショック』で命に関わる事態になったら、どうするのか?って、怒りを感じます。

安易な鉄剤購入、内服で肝臓がボロボロになる。

こうやって、『日本陸上競技連盟』が提言を出したり、『ヤブ医者』が安易に『鉄剤を注射』しないようにすると、市販の鉄剤やサプリを購入して、ガンガンに内服する方が出てきます。

フラフラするから貧血って言うのは、危険な診断。

鉄剤を内服する場合には、貧血の程度、鉄の不測具合を血液検査で確認する必要がある。

鉄剤の内服を漫然と行うことで、『ヘモクロマトーシス』って肝臓に鉄が溜まって大変なことになります。過剰な鉄による肝硬変です。

ドラッグストアって、薬を売りたい人が経営しています。なので、鉄剤を購入する際にも、別に本気で注意されたり、内服期間を確認されたりしません。ホント、都合がいいなって思うのは、薬の箱に『医師に相談してください』って米粒みたいに小さく書いています。

ですので、鉄剤の飲み過ぎによる健康被害って、なかなか無くなりません。『鉄欠乏性貧血』って、すごく身近な病気ですが、診断、治療の基本を守らないと、とんでもないことが起こるので要注意です。

女性でもお子様でも、『鉄欠乏性貧血』は、1)診断基準を満たしているか?2)出血源が無いか?3)治療の第一選択は鉄剤の内服、4)繰り返す場合には、消化管、婦人科領域などの精密検査が必要、であることを覚えておかれた方が良いです。

繰り返しになりますが、血液内科、消化器内科で特別な事情がある場合以外、『鉄剤の注射』を安易に行っているクリニックは、『ヤブ医者クリニック』の可能性があります。疑ってかかった方が良いと思います。

医療訴訟の原因で『鉄剤の注射』が上位にランキングしている情報も知らないのだと思います。