職員さんの敬遠する仕事
『ヤブ医者』って、『自分に甘く、人に厳しい』タイプ、『自分に甘く、人にも甘い』タイプが多いです。
『自分に甘く、人にも甘い』って、経営も甘くて、医者としてもダメですけど、比較的、職員さんに好かれています。だって、怒らないし、仕事楽なので、攻撃されません。そっと、放置されている感じです。
一方、『自分に甘く、人に厳しい』タイプは、職員さんに厳しいので評判が悪いです。
『看護師さん』、『医療事務さん』が敬遠する仕事
1)待合室のトイレ掃除、クリニックの玄関掃除
2)クリニックの窓拭き、休憩室のトイレ掃除
3)休憩室の水回り掃除、床掃除
『ヤブ医者』じゃなくても、『職場の玄関、トイレを掃除するのは、社会人の常識だ』っていう先生が未だに居ます。
→違うでしょ。じゃあ、あんた、勤務している大学病院、民間病院の玄関とトイレ、掃除してたのかよ?絶対してねぇだろ?
→こういう職場って、あっさり辞めた方がいいです。いずれ、先細りますから。考え方が古いです。職場って、『働いて金を稼ぐところ』なので、金にならないことに時間と労力を割かない方が良いです。
クリニックの窓拭きとか、業者にしてもらうか、院長がすればいいんですよ。だって、自分の建物でしょ?
→ブラック、自分でする時間がもったいないので、金を払って業者にしてもらいます。窓を拭く時間は、診療するか、他のことをして金を稼ぎます。そういう考えです。
たとえ、職員さんの休憩室でも、清潔に、きれいに保っておくのは、経営者、管理者の責任なので、掃除、清掃を職員さんに押し付けるのは止めた方がいいです。一見、厳しく、きちんとした職場に感じますけど、無駄な時間と労力を割いているだけです。
職員さんの求める職場は、
○勤務に集中できる。
○人間関係が面倒臭くない。いちいち、医者に干渉されない。
○掃除、窓拭きなどの余計な仕事がない。
○定時に帰れる。
○給与、待遇が良い。有給が取れる。
これだけの条件を揃えないと、他の職場に転職されても文句は言えません。逆に、これだけ揃えておけば、『辞めたければ、どうぞ、辞めてください。』って、経営者として強気で言うことができます。『他に良い職場、無いでしょ?』って思えますから。
話を戻して、清掃はどうするのか?
●地域のシルバーケア、福祉事業に依頼して、安価、短時間で依頼する。午前8時30分〜午前10時まで、とか。。。
●業者に依頼する。(もちろん、相見積もりを行い、安価なところに依頼する。)
結論:手近な職員さんを清掃業務や便利屋として使わない方が良いです。立派な退職理由に成り得ます。
黙っていても稼ぎ始める
『ヤブ医者』じゃなくても、一定数の先生は、『そんなに職員を甘やかすのか?』って思うんですよね。。。
甘くないですよ。これが今の労働事情です。医者の勝手な思い込みを職員さんに押し付けると、誰も続かないですし、離職率は高いままです。
○離職率が高いことって、企業の成長、財務にマイナス
ブラック、顧問税理士の先生、歯科の先生と経営の勉強会を定期的に行います。非常に勉強になりますが、歯科の先生だと、『歯科衛生士さん』、クリニックですと『看護師さん』の高い離職率は、数字に表れます。
まず、退職する場合、新規の『看護師さん』を雇用しますが、引き継ぎの期間、3ヶ月程度は給与がダブります。
→月給:30万円だとすれば、『90万円』です。
この『90万円』を数年で繰り返し重ねると、結構な額になります。さらに、新規の『看護師さん』に業務を教えなければなりません。業務に慣れた『看護師さん』の手間を取られて、新規の看護師さんは覚えるのに必死です。この業務に慣れた『看護師さん』が動けなくなるのが、まず、数字として痛いです。
目に見えてない数字のようにですが、明らかに数字として表れます。
クリニックですと、
○『かかりつけの患者さん』で不整脈の患者さん→言われなくても心電図検査を行う:130点→1300円
○『かかりつけ患者さん』で糖尿病の患者さん→言われなくても、血糖測定:16点→160円
○『新規の患者さん』で動悸、息切れの患者さん→指示を受けに来て、胸部レントゲン、心電図などへ→8000円以上
○認知症が心配と言われる→指示を受けに来てMMSE検査を行う→800円
○訪問看護指示書、居宅管理指示書など、指示を出す前に打ち出し、持ってくる。
○寝たきりで動けない、癌終末期の患者さんの血液検査に出動してくれる→もう、数万円単位。
慣れた看護師さんって、自分で動いて、ガンガンと診療報酬を上げてくれます。頑張れば頑張る分、給与に上乗せされたり、待遇が良くなるって知ってるからです。もちろん、辞めたくもないのでしょう。
これって、『歯科衛生士さん』だと、もっと凄くて、歯科の一診療台あたりの売り上げが、『月:50~100万円』違ってくるそうです。
そりゃ、そうですよね。だって、患者さんが来たら、言わなくても『歯石取り』、『クリーニング』とか、ガンガンしてくれるんだから、違うでしょ。
できる『歯科衛生士さん』って、『月収:40万円以上』、『夕方の時給:3000円』にしてるって、歯科の先生が言ってました。元を十分に取れるので、支払っても良いってことです。
ってことは、すでに、医療関連の市場は、
●掃除、窓拭きとか、小さなことを言ってる場合ではない。
●クリニックでは、看護師さんが動いて稼げるように成長している。
●歯科では、歯科衛生士さんによっては、一診療台で月:50万円以上稼ぐ能力差を持ち始めている。
離職、退職を繰り返して、成長できなかったら、売り上げは伸びず、企業として成長しないのは当たり前って明白です。
それでも、クリニックの玄関掃除、窓拭きにこだわる先生は、どうぞ、ご自由に。ブラックとは価値観が違うだけですので、別に興味ないです。
多分、患者さんも看護師さんも医療事務さんも、ブラックのクリニックに集まってるから、どうでもいいです。
看護師さん、従業員さんに手当をつけます
診療報酬、クリニックの売り上げが伸びても、『看護師さん』、『医療事務さん』って、実感が湧きにくいです。一番、実感が湧くのは、
○夏、冬の賞与
ここは、職員さんの頑張り、業績を考慮して、規定通りに賞与を支給して、さらに職員さんの頑張りに応じて、金額を上乗せして良いです。
注意するのは、『一旦、上げると、下げにくい』です。大盤振る舞いをしても、翌年、賞与が下がったら退職する職員さんが出始めますので、『賞与はコツコツとあげる』方が良いです。
『安楽思考』っていう考えが人間にはあります。『慣れ』、『楽をして貰いたい』って考えです。これは、誰にでもある思考なので、仕方がないです。
逆に、『安楽思考』から考察すると、賞与でドカーンと支払っても、慣れて、忘れるってことです。
○月の手当をつける。
『安楽思考』から考えれば、月々の給与に手当をつけた方が、頑張るってことです。
1)新人教育手当
→新人さんを教育してくれている方に対して、6ヶ月まで月:5000〜10000円の手当をつけます。(他の方も教えるように指導はしますが、お金をもらうと、責任をもって指導します。)
2)コストカット手当
→試薬、点滴、注射、インク代など、コストカットに貢献した職員さんに対して、月:2000〜5000円、一時的に支払います。
→一見、小さな額に見えますけど、時給1200円の方ですと、1時間〜4時間分の労働対価と同じです。貰う職員さんって、『〇〇時間分だ。』、『ランチ1回分だ』って考えるものです。
3)院長スケジュール管理手当
→院長の往診スケジュールを組んでくれるリーダー、サブリーダー看護師さんに、月:5000〜10000円、つけています。院長の往診スケジュールがタイトでないように組みつつ、自分達も往診のヘルプとして、採血に出かけたり、居宅管理、訪問看護指示書などを準備します。
→お金もらえるので、結構、喜んでくれています。(本心、知らんけど。)
4)院長アポイント手当
→医療事務さんで、院長の行政会議、医師会会議、健診出務などを管理してくれ、また、面会のアポ管理をしてくれます。秘書みたいな感じです。月:5000〜10000円つけてます。
まだまだ、他にもあるのですが、自分の業務に値段がついているので、職員さんって、やる気になります。こうやって、ブラックの職場は、離職率が低下して、職員さんは増えています。
人に対して、『医療とはぁー』、『医者とはぁー』とか語ってても誰も付いてきません。ブラック、昼夜を問わず働いて、研究して、実験して、振り返ったら誰も居ませんでした。インパクトファクターが何百点あろうが、専門医の資格を幾つ持とうが、書籍があろうが、ぜーんぜん、関係ないです。
人に対しては、『お金のついた思いやり』こそ『優しさ』であり、『求心力』、『成長エンジン』ってことが良く分かりました。
ブラックみたいに失われた17年間を過ごさないように。良い医療を提供し、良い職場を構築し、経営者として幸福になってほしいです。ブラック、今、必死に幸福になろうとしています。。。欲しいのは、お金と時間です。