ワクチン接種センター、接種開始当初から変わった点。
⚪︎ワクチン接種センターで、接種された方の具合が悪く場合や、アナフィラキシーショックを起こした場合、対応する医師は決まっています。
⚪︎自治体によって、「救急対応医」、「アナフィラキシー担当医」、「コロナワクチン対策医」などと呼び方が違います。
⚪︎呼び名が違うだけで職務は同じです。ワクチン接種前後での容体変化時、救急対応を含めて責任を負っています。
⚪︎救急対応が必要となることが多いので、救急専門医、循環器専門医、呼吸器専門医などの先生が救急対応を引き受けています。
コロナワクチン集団接種が開始されて2年近く経過しました。初期、暗中模索でワクチン接種を行なっていた頃から随分と方法や内容が変わりました。
・ワクチンの種類が、ファイザー社製からモデルナ社製に変わった。
・ワクチン接種後の容体観察(待機時間)が30分間から15分間に短縮された。
・3回目のワクチンは、モデルナ社製スパイクバックスで、mRNAの量が3回目用に減量調整されている。
・当初、間違って皮下注射をおこなったり、認知症の方に2回接種してしまったり、ミスが頻発していた。
色々なことが起こりましたが、四苦八苦しながら2年目を迎えています。ワクチン接種を受ける方も慣れてこられたようで、接種が円滑に進んでいます。
救急対応医として診療を要請された具体的な経験例(担当地区)
◉幸い、アナフィラキシーショックはありませんでした。
⚫︎最も多かったのは、ワクチン接種後の血圧低下、気分不良でした。(救急対応を求められた患者さんの70%程度。)
救急対応室で安静にしていただき、血圧測定、脈拍チェックを行なっていると、全員、気分不良から回復され、ワクチン接種後30分間の経過観察を行なって、帰宅されました。
ワクチンを接種するために緊張し、血圧、脈拍が上昇し、接種後の安堵感から迷走神経反射を起こすようです。
ワクチン接種の前の日から緊張し、不眠であったり、食欲が落ちていた方もおられました。
⚫︎二番目に多かったのは、パニック障害を持っている方のパニック発作、過換気症候群でした。(救急対応を求められた患者さんの20%程度。)
患者さんは、発作時の安定剤を持参しておられたので、持参の安定剤(エチゾラムが多かった)を服用いただき、救急対応室で発作が治まるまで安静にしていただきました。全員、無事に帰宅されました。
パニック障害、過換気症候群の患者さんは、安定剤を持参いただいていたので非常に助かりました。
⚫︎狭心症の持病がある方、気管支喘息の持病のある方が、ワクチン接種による緊張から発作を起こされました。
狭心症の発作の方は、ニトロペン舌下(持参)し、狭心症発作は数分で改善しました。
気管支喘息の方は、吸入薬(持参)を使用いただき、気管支喘息発作は30分以内に改善しました。
狭心症、気管支喘息の方も、発作時の治療薬を持参いただいたので非常に助かりました。
◉県内の接種センターでは、2ヶ月で2件のアナフィラキシーショックが発生し、救急搬送を行った、と報告されています。
◉2月〜3月までのワクチン接種数が発表されていませんので、アナフィラキシーショックの発生率を算出できず、誠に申し訳ございません。
◉アナフィラキシーショックは、非常に稀ですが、発生する場合は、ワクチン接種後5分以内が多いです。
ワクチン接種後15分以内に75%以上のアナフィラキシーショックが発生するので、ワクチン接種後の待機時間を15分間と定めているだけです。
10%程度のアナフィラキシーショックは、ワクチン接種後30分以内なので、接種して15分間経過したからといって安心はできません。
アナフィラキシーショックの発生確率は、2.5万接種に1回と報告されています。
ワクチン接種センターの報酬(地域差あり)
●ワクチン接種センターは、問診を行う医者、ワクチン接種を行う看護師さんの確保が大変です。
●地域差はあるでしょうが、接種センター地区の医師会が行政の委託を受けて、出務する医師の当番表を作り、調整しています。
このため、医師会の事務職員さんが極めて多忙です。医師会の事務職員さんにも手当を支払うべきです。
●ワクチン接種当番となった医師が、ご自分のクリニックの看護師さんを連れて接種センターに出務しています。
●看護師さんが不足気味であり、行政はワクチン接種の看護師さんを募集したり、派遣会社に派遣を依頼しています。
ワクチン接種センターの出務費用(地域差あり)
・看護師さん:時給5000円、出務3時間:1万5千円
・医師:時給1万5千円、出務3時間:4万5千円
ワクチン接種センターの接種時間は、午前10時〜13時、午後14時〜17時の3時間で区切っています。
ワクチン接種センターに出務して、アナフィラキシー、救急対応医を務めながら、問診を行なっても報酬は同じです。
ワクチン接種センターに来られた方がギリギリの時間に接種したとしても、15分間の待機時間、問題がなかったか?確認してから帰ります。その15分間の報酬もしっかり貰えます。
ワクチン接種センター出務料の振り込みが遅いので、医師会が立て替えて振り込んでいる地域が多いです。
看護師さんの出務料には税金はかかりません。
先生の出務料には税金がかかります。
●4回目のワクチン接種が充分に進んでいないのに、4回目のワクチン接種の報道が流れています。
先のことを考えるのは政治の役割でしょうが、3回目の接種をしっかりと行い、まずが第6派を抑えることに現場としては集中します。
●行政は、5月をもって、クリニックでのファイザー社製コロナワクチン3回目を終了する予定です。
ファイザー社製ワクチン、モデルナワクチンの混合接種体制になるのか?モデルナ社製ワクチンで統一するのか?答えは出ていません。
自宅の近くのクリニックで3回目接種を希望する方、ファイザー社製ワクチンを希望される方は、なるべく早めに予約しておいた方が良いです。
クリニックでの接種は、4月までは従来通り。5月から4割削減し、5月をもって終了予定であることが行政から通達されています。
今後もワクチン接種に関しては、接種体制、ワクチンの種類、接種場所が二転三転する可能性が高いです。しっかりと情報網を張っておかれた方が良いようです。