クリニックの悩み 看護師さん、医療事務さん 獲得できた理由

当院は、「人材紹介・派遣会社」と縁を切りました。(当院の経営方針です。)

◉「人材紹介・派遣会社」を「使用する。」、「使用しない。」には、正解はありません。経営者の先生の判断です。

◉「人材紹介・派遣会社」が良い、悪いではありません。こちらも経営者の先生の判断です。

◉「人材紹介・派遣会社」に登録している看護師さんが良い、悪いではありません。こちらも個人の価値観や働き方に対する考え方の違いです。当然、非難するつもりは全くありません。

上記につき、どうか、誤解の無いようにお願いいたします。

当院は、「良好な職場構築」に苦労を重ねました。自業自得な面が多々ありますが、「人材紹介・派遣会社」に関しても多くの経験をしてまいりました。

此処4年間、「人材紹介・派遣会社」と縁を切り、独自の人材募集、採用を行い、看護師さん、医療事務さんを充分に確保できています。また、離職率を大きく下げることに成功いたしました。職員さんは、職場に定着しています。(職場に満足していると推測評価しています。)

当院の方法が、開業されている先生、これから開業される先生の一助になれば幸いと考えて記載しております。(個人的な見解、経験を踏まえての記載ですので、どうぞ、ご理解をお願いいたします。)

◉職員さんの入れ替わり、退職者が多いと、お金を失うという事実からご理解ください。

過去にも記載いたしました。職員さんが入退職を繰り返すと、お金を失います。

1)単純に退職者と新規入職者が重なる時期の人件費が増える。

2)新規入職者を指導する職員さんの手間、時間が取られて、指導する職員さんが充分に医療報酬を上げることができない。

・歯科衛生士さんは、「処置が減るので月額20万円減少する。」とか、「診療台1台につき30万円の診療報酬減少する。」というデータがある。

・看護師さんも同様です。教育や指導に、時間と気を取られて、「心電図検査、血糖、検尿検査などの検査が減少し、月額20万円程度の売り上げが減少する。」というデータがある。

入れ替わりによる人件費の重なりに加え、報酬を伸ばせない分、ダブルで損しますので、離職率を下げ、長く頑張ってもらうことが大事です。

◉退職者が多く、人の入れ替わりが多い職場が、経営者にとって良くない理由。

・単純に職員さんの士気が下がる。

・職員さんが新規入職者の指導に疲れる。

・退職が頻繁であると、職員さんが「継続して働くことが悪いことではないか?」、「職場が悪いのではないか?」と自問自答を開始する。

・退職者が多いことや、指導が大変であり、職員さんから経営陣に注文が付き始める。結果、職場の経営陣と職員さんとの間に軋轢が生じる。

◉5年間以上、「人材紹介・派遣会社」に頼った過去。当院の経営方針と合わない点。

8社〜10社程度の「人材紹介・派遣会社」を利用してきました。

⚫︎最も定着しなかった看護師さんは、「パート看護師さん」、「扶養範囲内の看護師さん」でした。

当院と同じ方向性、「長く定着して勤務を継続してほしい。」、「職員さんの数を1人多めに採用するプラスワン。」を目指す場合は、「人材紹介・派遣会社」を利用しても構いませんが、以下の方は避けた方が良いです。

・職歴が転々としている。1年〜2年程度で職場を変えている。

・職場からの通勤時間が長い。車で30分間以上の通勤時間がかかる。

・常勤ではなく、パート勤務を希望されている場合。

このパターンのパート勤務看護師さんは、退職率100%です。しかも、1年強で退職されます。(ブラック調べ)

個人的な見解ですが、長く一つの職場に勤める価値観を有していないと感じました。退職された看護師さんに尋ねましたが、以下の点を教えてもらえました。

・入職後も「人材紹介・派遣会社」から定期的に電話、ライン、メールなどの連絡があること。

・入職後、1年経った段階で「転職祝い金」、「退職支援金」の話が出始めた。

以上から、「人材紹介・派遣会社」は、契約期間の1年(会社との契約により期間は異なる)が経過した時点で、看護師さんを他の医療機関に転職させることで、紹介料を得ているのでしょう。また、看護師さんも「転職祝い金」、「退職支援金」を貰えるわけですから、良い話です。

退職する可能性が高いことを予測した上、契約期間内の1年間のうちに、「常勤看護師さんの採用」、「長期間定着してくれる看護師さんの採用」を目指す条件なら、「人材紹介・派遣会社」を利用する手は有りだと考えます。

◉逆に、「人材紹介・派遣会社」からの入職で長く続いた看護師さん。

・職歴が転々としていない。

・出産、育児で退職され、復帰の一発目の職場。

このパターンの看護師さんは、「人材紹介・派遣会社」に染まっていません。ご本人の価値観が「転職祝い金」、「退職支援金」に傾かない限り、長く勤められる可能性があります。

もちろん、他の看護師さんと同様、「人材紹介・派遣会社」から定期的な連絡が入るわけですから、職場の環境を良くして、「人材紹介・派遣会社」の誘いに負けないようにするしかありません。

当院の経験した事例ですので、全ての「人材紹介・派遣会社」が同じとは限りません。ただ、一ヶ所の職場に定着されない方は、当院の経営方針に合わないだけですので、良い、悪いの話ではなく、考え方が違うだけです。

当院は、「人材紹介・派遣会社」に負けない職場づくりに専念しています。嫌味な言い方ですが、「転職祝い金」、「退職支援金」に負けない「給与」と「福利厚生の充実」です。

離職率を下げるため、当院の福利厚生は、こちらです→http://離職率を下げるための当院の取り組みは、こちらです→https://町医者の博打と投機と良い医療.com/clinic-open/クリニック経営%E3%80%80離職率を下げるため%E3%80%80当院の福/

クリニックの経営方針ですから、正解はありません。

◉看護師さんが何名か?医療事務さんが何名か?経営される先生の方針です。

クリニックでも病院でも、看護師さん、医療事務さんを何名、雇用するか?決まりはありませんし、正解もありません。

○当院の経営方針。中期経営計画(5年間)では、成長過程であり、人件費が増えても構わない。

・離職率を下げて、安定した労働力を確保すること。

・長続きする職場を作り、コストパフォーマンスを上げること。

・残業時間をゼロにし、離職率を下げつつ、無駄な人件費を省くこと。

・自力での採用に執着する。「派遣・人材紹介会社」には頼らない。

・「派遣・人材紹介会社」に頼るということは、引き抜き、退職のリスクを高めるということであると断定している。

○他のクリニック、病院との差別化を徹底する。

・勤務時間にこだわらない。遅めの出勤時間の採用枠を増やす。(9時〜12時30分、9時30分〜13時など。)

・正看護師、准看護師などの資格にこだわらない。フレッシュな職員さんを歓迎する。

・医療事務さんに関しても同じ。未経験者でも構わない。

・必ず、周囲5キロ範囲内のクリニックよりも時給を高くする。

・看護師さんの往診同行は不要。緊急携帯電話、夜間呼び出しは無し。土曜日午後、日曜、祝日の外来診療は行わない。

・短時間型常勤採用枠を導入し、増やす。(短時間常勤とは、週休2日を月に2回、平日週1日休み、賞与年間3ヶ月など。)

○面接、採用試験に徹底的にこだわる。

・面接は、院長、妻の2人で必ず行う。両者が納得しない場合には、採用しない。

・採用試験を必ず行う。CUBICとスカウターによる適性検査を行う。信用指数が50以下の場合には、絶対に採用しない。

・接遇、マナーを重視する。現在の職員さんにも同席をお願いする。面接前、「車の運転マナー」や「挨拶への反応」もチェックする。

他にも山のように改革した点がありますが、少なくとも離職者が多かった時と職場環境が全く違います。

⚪︎職員さんの数が多いので、子供さん、ご家族の体調不良、発熱などでも休みが取りやすい。結果、ママさん看護師さん、医療事務さんの募集が多く、入職後、退職されません。

⚪︎有給休暇を消化するのが当たり前の職場になりました。勤務シフト表を作成し、医療事務さん、看護師さんが前月の15日までに経営陣に提出します。

⚪︎残業がゼロなので、帰宅時間が定刻通りです。ご家族との時間やプライベートの時間が充実するので、退職されません。

⚪︎接遇研修、マナー講座を開催します。もちろん、費用はクリニックが負担します。更に、接遇研修のフィードバックを行う機会(面談、簡単なレポート、実践できているか?確認)もあり、向上心の少ない職員さんは、頑張るか?退職するか?二択を迫られます。

(すっかり退職されてしまいました。価値観の問題なので、ご自分の価値観、性格に合う職場を探せば良いと思います。良い、悪いではありません。)

記載するとキリがありませんが、たった4年で職場は生まれ変わりました。最も大事なことは、「経営者である院長先生が、イライラしない。怒らない。感情的にならない。根性や精神論は捨てる。」ことです。

⚫︎怒ることは、口から一万円札を吐き出すことと同じである、と悟る。

⚫︎感情的になったり、怒鳴ったりすると、ハラスメントで訴えられる可能性がある。

⚫︎往診は、1人で気楽に行く。血液検査、注射は、大勢居る看護師さんに訪問して行なってもらえば良い。

⚫︎土曜日の午後、日曜日に働くことが偉いことではない。看取り、救急は、医師が対応すれば良い。

⚫︎言わなくても、努力する医師、経営者は、尊敬されるので、自らへの承認欲求、称賛欲求を捨てる。

⚫︎逆に、褒めるのはタダ。褒めまくる。些細なことでも称賛する。

募集、入職経由。「人材紹介・派遣会社」の行く末は?

◉看護師さん募集のメインは、ホームページです。ハローワークにも募集を出します。

「内科未経験歓迎」、「短時間型常勤」、「出勤時間調整可能」と宣伝します。

◉医療事務さんの募集が多かったのは、コンビニに置いてある求人誌と折り込みチラシでした。

クリニックは、時給が高いので、目につくのだと思います。「初心者歓迎」、「未経験者歓迎」です。

⚫︎クリニックの開業場所は大きい。患者さんが来られているから、人が多いとは限らない。

少子高齢化地区は、高齢者の方は多いが、30歳以上のママさん看護師さん、医療事務さんが少ない。

結果、「人材紹介・派遣会社」に頼るが、時給が高く、派遣可能な人材も少ない。

派遣看護師さんの時給:2200円〜2500円ですが、人が少ないと更に上昇します。

⚫︎通勤時間が長い場合、離職率が高くなる。

⚫︎ママさん看護師さん、ママさん医療事務さんは、子供さんの幼稚園、学校の近くの職場を選ぶ。

⚫︎扶養範囲内で勤務されるママさん看護師さん、ママさん医療事務さんは、ご主人の勤め先の近くである。

会社、事業所の多い地区が多い。人口が多い地区。高齢者が多い地区より、都市部、郊外型が多い。

ブラック評)田舎、少子高齢化の過疎地区は、働き盛りの世代と子供さんが少ないわけですから、いずれ衰退するのは目に見えています。

開業する場所を考える上で、現在の高齢者の患者さんが来院しなくなる10年後を見据えて開業しないと経営が厳しく成りかねません。

また、ママさん看護師さん、ママさん医療事務さんの募集が少ない場所は、先行きは厳しいと考えています。

ブラック評2)全く無責任な予想ですが、これだけ情報社会になり、独自の採用方法が通用するのであれば、「人材紹介・派遣会社」の先行きは暗いと考えています。

なぜ、高い紹介料を払って人を雇用する必要があるのか?

なぜ、引き抜かれるリスクがあるのに、仲介を依頼するのか?

なぜ、人口が減り、働く場所は少なくなるのに、「人材紹介・派遣会社」が存続できるのか?

上記を考えた時、「人材紹介・派遣会社」に頼るのは、

・忙しく、人不足な病院、介護施設や、過疎地域の救急病院。

・ブラックなクリニック。ハラスメントが横行し、自浄作用の無いクリニック。

・独自の採用方法を持たない医療機関。情報戦に負けているクリニック。

・金銭的に余裕があり、「人材紹介・派遣会社」に頼ることを屁とも思わないクリニック。

・人が入れ替わろうが、医療の現場は常に人不足であり、当然であると考えているクリニック。

「人材紹介・派遣会社」に頼るクリニックは、おそらく激減していくと思います。だからこそ、「人材紹介・派遣会社」は、焦って、ファックス、メールなどの宣伝攻撃を止めないのでしょう。紙の無駄なので、当院では「今後、ファックスしないでください。」とレ点をつけて送り返しています。

採用に至った好印象な看護師さん、医療事務さんは、こちらです→https://町医者の博打と投機と良い医療.com/clinic-open/ヤブ医者クリニックには皆無%E3%80%80看護師さん、医療/