秘密主義のクリニックが多いからこそ、経営情報を公開するべき。(と思います。)
クリニックだけではなく、歯科クリニック、薬局、介護施設なども同じかもしれません。やはり、お客さまサービス、お金儲けに直結する業務は、内緒にしたいと思うのが経営者の正直な気持ちでしょう。
クリニックは、セブンイレブン、ローソンなどのコンビニ業界、マクドナルド、モスバーガーなどのハンバーガー業界、スシロー、くら寿司などの回転寿司業界など、過激な経営競争がある業界と違います。
クリニックは、ガンガンと全国展開、チェーン展開できるものではないので、お互いに色々と情報交換をした方が良いのになぁ、と思います。
当院で開始して、患者さんの評判が良かったり、売り上げに貢献したサービス、検査方法をランキング形式で振り返ってみたいと思います。
「あんた、これ、使えねぇよ。」と思うものは、スルーしてください。また、当院独自の経験、感想に基づきますのでご了承ください。
◉評判が良かった。確実に経営にプラスだったランキング。
◉第1位:血液検査予定の患者さんに尿スピッツを渡す。次回来院の際、尿を持参いただく。
大学病院、大病院ばかりでなく、クリニック全般で長期処方が増えてきました。長期処方に対応できない場合、かかりつけ患者さんが他のクリニックに転院するリスクが高まっています。
当院は、たまたま、長期処方に舵を切り、コロナウィルス感染症の拡大、リフィル処方箋時代も影響なく乗り切れそうです。(長期処方に切り替えて、売り上げ、レセプト枚数がどれだけ減少したか?過去の記載をご参考ください。)
⚫︎長期処方変更後、売り上げ高、レセプト枚数減少については、こちらです→https://町医者の博打と投機と良い医療.com/clinic-open/リフィル処方箋の実際%E3%80%80売り上げ、レセプト枚数/
・長期処方が増える=年間の来院回数が減る=血液検査やエコー検査の機会が減る、ということです。
・60日分処方している患者さんは、2ヶ月毎にしか来院されませんので、血液検査の機会を逸すると、次回の血液検査機会は、60日後です。(出直してもらうなら別ですが、評判が落ちそうなので行っていません。)
・60日分処方している患者さんは、4ヶ月毎に検査を予定していても、1回の検査機会を逃すと、6ヶ月に1度の検査の方と同じになってしまいます。
⚪︎検尿スピッツをお渡しし、「次回、血液検査ですので、よろしくお願いいたします。」と伝えると、患者さんに検査を意識づけることができます。
なぜ、意識づける必要があるか?手持ちのお金が少ない場合、患者さんは、「検査は、次回にしてもらえませんか?」とやんわりと断られます。
「手持ちが少なくて」、「お金がないので」と言われる患者さんは少ないです。尿スピッツを渡すということは、ちょっと言いにくいことですが、「次回の診察は、検査があるので、お支払いできるようにお願いします。」というメッセージでもあります。
⚪︎女性の患者さんは、クリニックで採尿することに抵抗を感じている方が少なくありません。また、性別関係なく、来院前にトイレを済ませてくるので、検尿検査ができないことがあります。自宅で採尿してきていただくと、一石二鳥です。
⚪︎患者さんに検尿検査を習慣づけることができます。検尿検査は安価な検査ではありますが、尿中微量アルブミン定量:95点(950円)ですので測定費用を抑えると利益がでます。
当院は、尿中微量アルブミン定量:330円〜350円で測定してもらっています。単純に、1回の検尿:600円の利益です。
⚪︎膀胱癌、腎臓癌などの疾患が見つかることがあります。検尿はあなどれません。
◉第2位:診察室に荷物置きを配置する。壁に手すりをつける。杖を引っ掛けることができるように壁に突起をつけた。
ご高齢の患者さんが多いので、待合室に忘れ物が多いです。また、診察の際、貴重品、荷物を持ったまま診察室に入室してもらいます。
(当院では発生件数:0件ですが、待合室で盗難にあったので、当院への転院を希望された方が居られます。)
診察室には、軽量型の荷物置きを配置しています。患者さんは、手荷物を置き、診察を受けます。
⚪︎患者さんが診察の際、円滑に脱衣できる。服を捲ることができる。
⚪︎患者さんが立ち上がるとき、手すりを掴んで立ち上がるので、便利。
⚪︎忘れ物がないし、診察中に杖が床に倒れないので、静か。
◉第3位:受付に老眼鏡を置いている。ネット販売の老眼鏡、弱、中、強の3種類。
当たり前かもしれませんが、老眼鏡は好評です。置いていないクリニックがあるので、差別化できています。老眼鏡を置いていないクリニックは、随分と減ってきました。
◉第4位:クリニックの診療カレンダーを渡している。
⚪︎毎月、クリニックの診療時間、休診日が分かるようにカレンダーを作成しています。
⚪︎希望される患者さんにお渡ししていますが、かなり、好評です。「ここまでしてくれる病院はないよ。」と言われます。
ただ、毎月、500枚近く、10センチ四方のカレンダーを作成しており、インク代が辛いのと、医療事務さんが作成してくれるので、手間がかかっています。ホームページを見れば分かることなので、いずれ、終了するサービスです。
◉第5位:傘の貸し出しサービス。
パチンコ屋さんでも行っているサービスなので、500円傘を5本準備して、診療中に雨が降り出した際、無料で貸し出しています。
1度も持ち逃げされていません。必ず、返却されています。患者さんは、律儀だと感心します。娘さんが傘と一緒にお菓子を持ってきてくださることも多いので、寧ろ、得しているかもしれません。
傘の貸し出し、カレンダー配布は、見返りを求めているサービスではありません。親切心を何処まで発揮できるか?試しているだけです。
◉第6位:特定健診、予防接種の際、事前に記載用紙を渡しておく。
インフルエンザウィルスワクチン、肺炎球菌ワクチンの予防接種の際の問診票は、それほどに大変ではありません。
⚪︎特定健診の問診票は、記入に時間がかかります。
特定健診の患者さんが、朝から2人〜3人、続くと、記入に時間は取られるし、他の患者さんの待ち時間は増えるし、困ります。
特定健診を希望される方は、事前に特定健診の問診票をお渡しして、次回、受診の際にご持参いただきます。
待ち時間が長いと怒り始める患者さんが居るので、時短にもってこいです。合わせて、上述の採尿スピッツを渡しておくと、トイレが混雑しませんで更に良いです。
◉ランク外だけど採用してほしい:患者さんのマーキング。
これは、是非とも行ってほしいことです。先生ばかりでなく、職員さんを守るためでもあります。
⚫︎過去、切れたり、怒鳴ったりしたことのある患者さん。
⚫︎クレームをつけたり、少しでも待ち時間が発生すると文句を言い出す患者さん。
⚫︎院長先生が、苦手だな、嫌だな、要注意だな、と感じている患者さん。
上記に当てはまる患者さんのカルテには、是非ともマーキングをされておいてください。該当患者さんのカルテの肩にシールを貼っておくことです。
例えば、「要注意シール=黄色のシール」、「怒鳴ったり怒ったりする=赤色シール」という感じです。
当然、職員さんには、シールの意味、情報共有をしておくべきです。カルテを見ると、待たせると危険と分かります。
当院では、90歳近くの認知症の患者さんで、待ち時間が長いと怒鳴り始める方がいるので、来院した瞬間に診察して、速攻で帰ってもらっています。
他の患者さんには、「認知症の患者さんで、待つと暴れ始める」と説明していますが、「順番を飛ばした」、「待ち時間が長くなった」と文句を言ったり、怒ったりする患者さんは居られません。
なぜなら、診察時間:10秒以内だからです。
医療事務さんは充分に理解していて、この患者さんが来院した瞬間、看護師さんと連携し、診察室に誘導しつつ、別の医療事務さんが処方箋の発行体制に入ります。患者さんのご家族にも説明し、了承いただいています。寧ろ、「ご迷惑をおかけして申し訳ありません。」と言っていただいています。
苦手な患者さんのランキングは、こちらです→https://町医者の博打と投機と良い医療.com/clinic-open/ヤブ医者の仲間入り%E3%80%80苦手、嫌いな患者さんラン/