クリニック経営 売り上げを伸ばす為 患者さんのタイプ分類

患者さんのタイプを分ける。心中は明かさない方が好ましい。

◉患者さんのタイプを知る。

患者さんのタイプに関しては、経営者の先生が心の中で決めることです。あまり口に出さない方が無難です。

⚪︎声に出しても良いこと。

・「この患者さんは、毎月、血糖検査を希望されています。」、「この患者さんは、毎月、心電図を取る必要があるし、患者さんも希望されています。」など。

・「この患者さんは、経済的な事情があり、検査は行う場合には、私からご本人に伝えます。」、「この患者さんは、診療報酬に気を使われている方なので、検査の際には事前に私からご本人に伝えます。」など。

⚪︎声に出さない方が良いこと。

・「この患者さんは、経済的に余裕があるので、毎月、血糖検査、心電図検査をしてください。」

・「この患者さんは、ケチなので、検査すると色々とウルサイです。」

・「□□検査をすると、△△円、儲かるので、今日は〇〇人、検査をしてください。」

患者さんに配慮している発言は良いとは思いますが、「ウルサイ。」、「ケチ。」など、非難、悪口と取られる発言は控えた方が良いと思います。

経営方針にもよりますが、保険診療を行なっている以上、検査数の目標を掲げることは好ましくありません。先生の心中で目標を掲げ、検査をオーダーした方が良いです。職員さんは、察してくれるものです。この点、当院では、20年間、徹底しています。

(察してくれる職員さんが少ない場合、尚更、口に出さない方が良いです。何を言われるか分かりません。)

⚫︎「患者さんのお支払いの特徴に関して」:看護師さん、医療事務さんに話している先生がおられます。別に言うのは自由ですし、気にされないなら良いですが、

・看護師さん、医療事務さんは、転職されますので、他のクリニック、病院に転職後、「あの先生、お金にウルサイよね。」、「検査、検査、ウザいよね。」とか言われます。

・経営に関することなので、看護師さん、医療事務さんには言わない方が良いです。

・職員さんを信用することと、考えを伝えることは別問題です。

・言わなくても察してくれます。察して行動した場合、不思議と他言は減ります。

◉患者さんのタイプを4種類に分類してみました。

1)検査に関しては、全てを先生に任せるし、費用に関しても何も言わない患者さん。

2)1年に1回〜2回の検査は行うが、基本、検査は好きではない患者さん。

3)クリニックは薬を処方してもらうだけで良い。会社検診を受けるので検査は不要。

4)経済的な事情で検査を受けたくても受けることができない。または、受けたくない。

診察をしていると、患者さんのタイプが徐々に分かってきます。しかし、必要であれば検査はしなければならないと思います。患者さんの希望通りに検査を減らすと、高血糖、腎不全、肝機能障害、甲状腺疾患、癌などの疾患を見落とす可能性もあります。

⚫︎しかし、強引に検査を行って、患者さんとの関係が良好のまま進むことはないので、検査を拒否されたり、検査項目を減らすように依頼された場合には、カルテにしっかりと記載しましょう。

⚫︎「検査を全くしなかった時」、或いは逆に、「検査を頻繁に行なっていた時」、いきなり、会ったことも見たこともない、存在すら知らなかった患者さんのご家族が登場することもあります。

・「そもそも、こんなに検査が必要だったのか?」

・「検査を全然していないけど、きちんと検査をしていれば、もう少し早く病気が見つかったのではないか?」

何を言われても大丈夫なように、

⚪︎「診療のルール、自らの検査のルールを守り、気分や経営状態に関わらず、根拠のある医療提供姿勢を崩さない。」

⚪︎「何を言われても、この検査をしなかった場合、どうなるのか?」、「この検査をしたので、〇〇が否定できた。」と返せるように理論武装しておいた方が賢明です。

⚪︎実際には、検査をすると安心する患者さんが多いです。また、検査結果の説明が不充分なため、検査に対して不信感を抱いている方も多いです。

検査結果について丁寧に説明し、「正常値は〇〇くらいであり、▲▲以下だと透析になる。」など、具体例をあげる。「□□が△△なので、4ヶ月後に再検査をさせてください。」と言えば、拒否する患者さんは殆ど居ないです。

(丁寧に説明しても検査を拒否する方は、深追いせず「検査について説明したが、ご本人が拒否。」と記載するようにしましょう。)

自然と、「この先生は、検査をする際には事前に予定を教えてくれるし、検査結果も丁寧に説明してくれる。」と感じ始めて、検査を拒否しなくなります。

◉医療も人相手、客商売のサービス業ですので、丁寧に接していると見返りは必ずあります。

患者さんは、検査に慣れるものです。

◉患者さんの来院経緯が重要です。

⚫︎前のクリニックは毎月、検査ばかりで嫌だった、という患者さん。

・必要に応じて検査を行う。毎月、検査を受けていた患者さんは、概ね、糖尿病の方なので、HbA1cの測定頻度を減らす。

・そもそも、HbA1cは、3ヶ月の血糖コントロールの目安なので、毎月、採血を行うことが疑問です。(経営者の先生のご判断です。)

⚫︎検査をしても、結果を渡されるだけで意味が分からない。検査を受けるだけ無駄という考えの患者さん。

・上述した通り、丁寧に説明していると、検査に慣れてくれます。

・徐々に信頼感が生まれて、6ヶ月〜12ヶ月毎の検査を受容してくれます。

そのうち、「友人が前立腺癌になった。尿のキレが悪いので、前立腺癌を調べてほしい。」、「胃癌の家系なので、ピロリ菌は大丈夫か?」、「昔からタバコを吸っている。肺癌が心配。」など、健康相談が増えます。

◉患者さんがクリニックの検査に慣れ始める。患者さんに応じた検査ペースが出来上がる。

当院は循環器内科なので、20年以上のかかりつけ患者さんは、心電図検査を受けることに慣れています。

しかし、此処数年で通院を始めた患者さんは、心電図検査に慣れていませんし、「定期的に心電図検査をしないといけないのか?」と疑問を持ち始めます。

・検査を強引に行うと、トラブルの元です。

・毎月の検査、毎回の検査を行うと、患者さんは警戒心を強めます。

◉患者さん(人間)の最も強い被害感情は、「自尊心を傷つけられること」です。外来診療において、「自尊心を傷つけられること」とは何か?

⚫︎血液検査、エコー検査、心電図検査など、事前の説明なしで行い、また、結果についても充分に説明しない。

・馬鹿にされているのではないか?説明しても分からないと考えているのではないか?という感情。

⚫︎事前に説明がなく、また、予定もなく、いきなり検査を行い、結果についても充分に説明がない。

・自分を案じて検査してくれているのではなく、単なる金儲けのために検査しているのではないか?という感情。

⚫︎診察の際、目を合わせない。適当な会話しかしない。

・馬鹿にしているのか?人を人と思っていないのではないか?

外来診療は、患者さん(お客さん)相手のサービス業です。偉そうな態度で、朝、昼、夕方の挨拶もしない先生が未だに居られます。なぜ、開業しているのか?本当に不思議です。

破壊力の強い検査は何か?

◉HbA1cを3ヶ月以上測定しないと、流石に高血糖が心配になります。

患者さんに説明して、血糖を測定させてもらうと、著しい高血糖の見落としが防げますし、診療報酬も充分にあげることができます。

⚪︎指先から血糖を測定した際の保険診療報酬。

*血液化学検査 4項目以下 グルコース 11点×1

*外来迅速検体加算 1項目 10点×1

*血液採取(その他)B-C 6点×1

*生化学検査(1)判断料 144点×1 合計:171点(1710円)

⚪︎心電図検査(12誘導) 130点×1 合計:130点(1300円)

ブラック評)「指先から血糖を測定すること」と、「患者さんに説明し、上着を脱いで、心電図を測定後、所見を読み取ること」では、実は、血糖測定の方が点数が高いです。

血糖測定も心電図も、手間と時間はかかりますが、血液検査みたいに外注検査会社の介入が無いですし、超音波検査みたいに時間もかかりません。実質コストゼロみたいなものです。

糖尿病の患者さんは、血糖測定を行い、結果を充分に説明すると、患者さんも納得してくれます。(血糖測定は、費用がかかるので、したくありません、と言われる方も多いです。)

・血糖測定は、1710円です。医療事務さんの時給を1000円とすると、1時間30分以上の労働力に相当します。

・心電図検査は、着替え、手間、時間を考えると、1300円は安いと感じますが、心臓病の見落とし防ぐためにも必要です。労働力に換算すると、医療事務さんの1時間以上です。馬鹿になりません。

◉血液検査に含めると、結構な破壊力の項目。定期の血液検査の際に組み込むようにしています。

⚪︎Dーダイマーは、血栓症の鑑別に有用な検査です。(Dーダイマーを測定しておらず、血栓塞栓症の見落としの法的根拠とされている判例があります。)

・足が腫れている患者さん、息切れのある患者さんの場合には、Dーダイマーを積極的に測定しています。

*出血凝固検査 2項目以下 Dーダイマー:130点×1 合計:130点(1300円)

実は、心電図と同じ診療報酬です。病名に「深部静脈血栓症の疑い」と入れておけば、3ヶ月〜6ヶ月毎に測定しても減点されたことはありません。(地域差がありますので、ご注意ください。)

⚪︎鉄欠乏性貧血の疑い フェリチン 105点×1 合計:105点(1050円)

⚪︎甲状腺機能低下症 TSH 101点×1 合計:101点(1010円)

甲状腺疾患、鉄欠乏性貧血は、6ヶ月〜12ヶ月毎に確認していた方が良い疾患です。患者さんのためにもなりますし、毎回、同じ検査項目をするよりは、検査を行う理由をカルテに記載しておけば、測定しても問題ありません。

・甲状腺疾患:甲状腺腫大、元気がない、足が腫れたなどの病状、症状がある。

・鉄欠乏性貧血:貧血がある。息が上がりやすい、など。

ブラック評2)ニッチな分野、特異的な検査項目は、まだまだ診療報酬が高いので、測定する価値はあります。患者さんにとっても有意義です。もちろん、外注検査会社からぼったくられていないことが最重要事項です。

また、患者さん全員に対して行うと、「傾向的検査」、「確率的検査」とみなされて減点されますので、ご注意ください。

かかりつけ患者さんの診療報酬明細書の具体例は、こちらです→https://町医者の博打と投機と良い医療.com/clinic-open/クリニック経営%E3%80%80かかりつけ患者さんの診療報酬/