クリニック新規開業でも、移転でも、注意点は同じです。(ブラック調べ)(ブラック考え)
開業が近づいてきました。当院は継承開業であり、リニューアルオープン(建て直し)です。しかし、色々なことを学びましたし、気をつけないと金が幾らあっても足りないと感じました。
クドイですが、25年間の医者人生、開業して20年経過した当院でさえ、情報不足で非常に困りました。同業者の方には、辛い思い、悲しい思い、悔しい気持ちをして欲しくない一心で記載しています。
⚪︎同業者とは、勤務医の先生、開業医の先生のみではありません。
⚪︎歯科クリニックの先生や、薬剤師の先生、薬局経営に関わる方。
⚪︎訪問看護ステーションの開業、介護施設や介護関連事業所経営を考えておられる方。
医療、看護、介護関連全ての方は、「ボッタクリ」に注意してください。お金は無限ではありません。開業コンサル、医療関連デザイン業者などの口車に乗せられないように注意して頂きたいです。
⚫︎ここからはクリニック開業の先生中心に記載していますが、基本、全業種、同じです。言い方は良くないですが、被害は酷似していて、相手の作戦も同じです。
◉圧倒的に間違っていること。
●開業コンサル:「親切」、「丁寧」、「何でもサポート」、「ご開業を全面的に支援」、「院長先生のご希望の医療を叶える」など。
・仕事なので、親切で丁寧なのは当たり前。何でもサポート、全面的に支援とは、金さえ払えば何でもします、ということ。希望すると金がかかる、ということ。
・医者は、値切らないと思っていますので、ガンガン値切ってください。「サービス(無料)できないのか?」と強気に出て構いません。
●「開業を決断される」、「開業を悩まれて相談する」際、何より注意するのは、「相談する相手」と「決定の順番」です。
⚪︎相談相手の第1位:ご家族、ご両親。近しいご親族。
(お世話になった方や、勤務先の上司にも伝えた方が良いです。円満退職がベストです。開業後に攻撃されないように。残念ながら、開業後、サポートしてくれる先生は少ないです。)
⚪︎相談相手の第2位:顧問の税理士の先生を探す。医療関連、人柄の良い先生に相談をする。(公認会計士や数字に強い業種の方を顧問にされている医療機関も多いです。)
顧問の税理士の先生の選定が先だと考えています。(顧問料は大して高くないし、どこも似たようなものなので、参考までに聞くだけで良いと思います。面倒なことを代行してくれるほど高いです。)
重要なことは、面倒なことを税理士事務所が行ってくれるか、月1回の財務報告を行ってくれるか、顧客が医療関連(病院、クリニック、歯科など)で占められているか、です。
辛いのは、領収書や数字を全部打ち込んで、エクセルでメールしてください、という事務所です。そういう面倒臭いことをしたくないから、顧問税理士の先生に頼んでいます。ただ、税理士の先生は、「雑用をするための顧問ではない」と主張する先生も多いです。正解はありません。経営方針の違いです。
クリニックの近くの税理士の先生にこだわらない方が良いです。当院は、100キロ離れた都市部の先生に顧問をお願いして4年経ちます。毎月、ファイルが送られてくるので、以下を挟み込んで送り返すだけです。
・国保、社保の支払い明細。
・領収書やクリニック関連の明細書。外注費用、酸素会社の請求書なども含みます。
・税理士の先生から依頼されている書類。(銀行通帳のコピー、医師会の積み立て残高のコピーなど)
・財務報告は、月1回、月末にズームで行います。困ったことは、税理士の先生と奥様(税理士)に携帯からいつでもメール可能。
・諸経費、雑務費などは、ネットで引き落としができます。面倒臭いことは行わない方向。
・税理士の先生の顧問料:月:7万円。決算報告、助成金申請などの際、別途、費用発生。(非常に親切、丁寧。機動力が高い。頭が良く、腰が低い先生。心から満足しています。)
先生の奥様の負担にならないように、雑用、業務を最少限に抑えるべきです。経営者の先生が行われても構いませんが、医療に専念した方が良いと考えています。いずれにしても、何もしてくれない税理士事務所は顧客が減っていると思います。
開業するにあたり、費用は大丈夫なのか?返済計画を含めた中期経営計画(5年間〜10年間)を立てることができるか?
当院は、過去の記載通り、税理士の先生を変更し、財務計画と経営の見直しで一気に黒字です。売り上げは大して変わりません。(500万円の赤字が1600万円の黒字です。院長の無能ぶりがすごいです。)
可能であれば、社会労務士の先生も決めておかれた方が良いですが、開業が具体化してからでも遅くはありません。ただ、就業規則、職員さんの募集については、社会労務士の先生に相談しながら進めた方が良いので、開業3ヶ月前くらいには顧問選定を考えた方が良いでしょう。
先生のクリニックの勤務形態、業務内容を把握して、就業規則を作成し、面接、採用を行わないといけませんので、1ヶ月前では時間が足りないように思います。
話が大きくそれましたが、繰り返しになります。開業を決断する時、決断した際、最初に相談するのは「ご家族」です。開業コンサルではありません。どうか、心に刻まれてください。
開業コンサルの選定。選定後の注意点。
開業コンサルは、数社、面談をされてから決めてください。開業コンサルの社風と、先生、奥様との相性が大事です。会社の大小にこだわらない方が良いですが、大手の方が業務が幅広いのは事実です。しかし、こういうことは問題ではありません。
◉なぜ、クリニックの開院日を先に決めるのか?
⚪︎非常に疑問です。まず、開業する際には、クリニックの理念と先生が何歳まで診療するか?また、診療内容、規模、予算を先に決めるべきです。
・何歳までクリニックを経営するつもりか?子供にクリニックを継がせる気はあるのか?(継承するか?しないか?決めていなくて構いません。ただ、そこまで考えてくれる開業コンサルは少ないです。)
・クリニックは、木造か?鉄筋か?それぞれのメリット、デメリットについての説明。火災保険料の違いなど。
・開業地区の坪単価:90万円程度が多い(都市部の郊外)。
・内視鏡検査、エコー検査などの拡充程度。
・駐車場の台数。クリニックの広さ。
⚪︎開業日を先に決めて、逆算して建設することは大事ですが、違和感が強い。
・開業日を先に決め、言われるがまま、契約を進めていくケースが頻発している。
・開業コンサルの言われるがまま、設計会社、建設会社、医療機器、卸、外注検査まで決まってしまう。
・「急がないと、開業日に間に合いません。」、「内覧会を行わなければ。」、「保健所、厚生局に申請を出していますから。」などと言われて急かされる。
・急かされ、慌てて、費用が予算を超え、大金になっていることを忘れる。麻痺させられてしまう。
⚫︎予算を超えて、2億円近い規模に膨れ上がっても、もう、後戻りできなくなる。
・開業される先生がこだわりにこだわり、その結果、開業費用が2億円以上になっても、先生のご決断であれば構いません。
・郊外で一般内科を行う。大規模でなくても良い。駐車場は、5台〜6台分あれば良いなら、1億2千万円〜1億5千万円で充分と考えています。
⚫︎郊外(神奈川県)開業でシュミレートした結果は、こちらです→https://町医者の博打と投機と良い医療.com/clinic-open/新規クリニック開業%E3%80%80厳しい経営状態の場合(甘/
いずれにしても、開業される先生の年齢が30歳代でお若いと言っても、いきなり2億円を超える借金を背負うのはリスクが高すぎます。
しかも、クリニック開業後、開業コンサルのアフターケアは殆どありません。開業コンサルは、開業までのサポートでしかありませんし、全国津々浦々、クリニックの開業コンサルを行い、経営している会社だからです。
⚫︎開業コンサルは、開業後のクリニックの収益まで公表している会社は少ない。開業実績だけアピールしている。
●最悪の結果から、悪いことばかりが起こり始めます。
・患者さんの来院する見込みがないのに、莫大な借金が残る。
・借金を背負い、患者さんが来ず、医療信念が揺らぎ始める。過剰な医療、点滴、訪問診療などを開始してしまう。
・イライラし始めて、家族の仲が悪くなる。「だから言ったのに」と奥様に言われ、先生がキレる。
・経営が上手くいかず、職員さんにも伝わって、クリニックの雰囲気が悪くなる。
●ブラック評)経営が軌道に乗らず、困っている先生を見かけます。正直、そんな場所にクリニックを開業しても患者さんは来ないだろう、と予想できていました。素人のブラックですら推測できますので、開業コンサルは分かっていたはずです。
⚫︎診療科が地域にマッチしていない。少子高齢化、人口減少地区での審美歯科、美容形成は難しい。子供が少ない地区の小児科。競合クリニックの多い地区への開業など。
⚫︎設備投資が過剰。近隣に大病院が幾つもあるのに、通常の消化器内科で、CT、MRIを完備する必要はあったのか?
⚫︎人口増加地区ではない。テナント型、床面積50坪以下の「内科・外科」であるのに、開業費用1億5千万円はおかしい。(詳細は不明ですので、理由があるのでしょうか?分かりません。どうやら、オペ室とCT撮影を導入した模様です。)
◉開業には、膨大なエネルギーが必要です。若い先生には、ガンガンと開業してほしいのですが、必要性を考えて設備投資を行うべきです。また、気持ちが大きくなっているので、開業コンサル、医療機器メーカー、建設会社に付け込まれやすいです。
⚪︎簡単に契約せず、契約書は必ず持ち帰る。家族と相談し、顧問税理士の先生に見てもらう。
⚪︎建設ばかりでなく、医療機器、内覧会の小物まで、必ず相見積もりを行う。
⚪︎開業コンサルの紹介に頼らないで済む案件も多いです。当院は、設計と書類代行のみお願いしました。
クリニック開業が迫り必要なこと。困ったこと。
●当院は、開業コンサルにお願いしたのは設計のみです。
●談合の疑いがあるので、開業コンサル紹介の建設会社に、独自ルート(家内の紹介)のゼネコンに入ってもらいました。3000万円も費用が浮きました。詳細は以下をご覧ください。
⚫︎開業コンサルと建設会社の出来レースについては、こちらです→https://町医者の博打と投機と良い医療.com/clinic-open/クリニックの設計、建築、解体%E3%80%80大幅低下成功%E3%80%8030/
●引越し費用は、開業コンサルではなく、建設会社の紹介業社です。
・梱包、運搬、不用品の廃棄まで全部行ってくれて、23万円でした。大手の引越し会社は高いので要注意です。
・古紙、段ボールは、無料で引き取ってくれる業社があります。
・レントゲンフィルムは、銀が含まれているので買い取ってくれます。タダで渡さない方が良いです。
●引越し、新規開業の日程が決まったら、段取りは開業コンサルと建設会社に投げましょう。
・建設会社の設計図に無線LAN、電話線、ルーターなどが記載してあるので、建設会社には出席してもらう。
・電子カルテや医療機器との連動。医療機器メーカーの方の出席必要。
・電話線の引き込み、警備会社の方の出席必要。
・レントゲン機器の会社の方の出席が必要。
上記の手配は、開業コンサル、建設会社に丸投げして、日程を調整してもらいましょう。忙しいのに、経営者の先生、奥様が手配する必要はありません。
◉お金を払っている分、手間、労力、時間がかかることは丸投げします。費用が発生しないものも気にせず丸投げします。
◉医療機器メーカー、X線機器の会社などとの打ち合わせの連絡業務は、開業コンサルや電子カルテのメーカーに「各社、情報共有してください。決まったら連絡して。」と言い放ちます。先生方が行う仕事ではありません。
◉奥様は、言いにくいので受けてしまうことがあります。「メールで送りますので、よろしくお願いします。」という言葉を耳にしたら、
「顧問税理士の〇〇先生にメールして、そちらで終わらせてください。」
「書類代行の仕事を全てお願いしているので、議事録の作成も行ってください。」
「医師会への開業手続きもお願いします。」
「家内にメールをせず、直接、建設会社にメールで確認してください。」
「定款の作成、理事長、理事の就任の書類は、そちらで作成してください。」
上記のように、経営者の先生が突っぱねてください。当院では、院長や医療事務さんが全力で業務を投げつけています。投げ返すという言い方が妥当かもしれません。
お金を払った以上、押し付けないと損です。先生に言いにくいことを奥様に押し付ける社員が居ます。ご注意ください。
◉開業の際、最も手際が悪かったのは、「電気会社」、「電話会社」でした。まったく融通が利きませんのでご注意ください。
せっかく、開業されるのですから、理想のクリニック、薬局、施設を起業され、幸福になることを願っております。