クリニック経営の悩み なぜ、儲からないのか?

医療業界の謎。どうして儲からないのか?ブラックの個人的な見解です。

◉医療関連は、基本、儲かるはずなのに、不思議と赤字が続く。

・医療関連の中でも、医療は儲かるはずだと考えています。世の中、お弁当でもお肉でもお酒でも、3割引とか5割引とか、安売りセールを行うと、多くの方が飛び付きます。なぜなら、安いからです。100円の物が、3割引であれば、70円で買うことができるからです。(廃棄のリスクとか、賞味期限とかありますけど、無視します。)

⚪︎医療(保険医療)は、最大、90%オフの商売です。

・後期高齢者の方は、1割負担の方がほとんどです。比率から考えれば、100円の医療を10円の自己負担で受けていることと同じです。

・高血圧、糖尿病などで通院されている方の多くは、3割負担です。比率から考えれば、100円の医療を30円の自己負担で受けていることと同じです。

自己負担分は患者さんが負担します。残りの70%〜90%分は、国民健康保険組合、社会保険組合などから医療機関に支払われます。

◉ブラック評)他の業種からすれば、あり得ないことだと思います。90%オフの商売をしているのに、利益を出せないのはおかしい、という結論になるはずです。

例えば、風邪の患者さんが医療機関を受診すると、受付で保険証を提示し、問診票を記載します。その後、看護師さんに病状を尋ねられ、熱を測り、医師に診察を受けます。

診察後は、待合室で待ち、風邪薬、解熱剤などが処方されます。クリニックを出る際には、保険証を戻してもらい、処方箋という紙切れを渡されるだけです。

初診料と処方箋料を合わせると、500点(5000円)程度になります。患者さんは、3割の1500円程度をクリニックで支払って、薬局に向かいます。薬局で薬剤師の先生に処方箋を渡し、薬を受け取って、薬代の3割を支払います。

ふと、冷静に考えると、クリニックでは、診察を受けて処方箋という紙一枚もらうだけで、1500円の費用を取られています。

ここからは考え方の違いです。

・医療機関を受診し、医療事務さんに保険証の確認、受付業務を行ってもらう。

・看護師さんという国家資格を持った方の問診、病状確認を受ける。

・医師免許を持った医師から診察をうけ、適切な診断、処方を受ける。

・看護師さん、医師には、医療を提供した責任が生じます。

医療機関で、国家資格を持つ人間に対応してもらっているので、当たり前だ、と考える方が多いかもしれません。色々な考え方があって良いと思います。

ただ、クリニックは、受付事務さん、看護師さん、医師の人件費と処方箋という紙代。感染リスクと責任を担い、その結果が5000円です。もし、他に患者さんがいなければ、コロナウィルス感染症がない時代、クリニックであれば、所要時間は10分間程度でしょう。

安いのか?高いのか?別にして、食べ物屋さんでも、建築屋さんでも、人件費、責任は生じますから、医療だけ特別ではありません。

医療は、70%〜90%オフ(残りは保険組合から貰いますけども)の商売をしているのに、どうして利益が出せないのか?明らかに不自然ではないか?25年間、考え続けています。

風邪の初診の方でも5000円です。利益率は別として、糖尿病の方は、血糖を測定したり、検尿検査を行いますから、益々、高単価医療の提供を受けますので、売り上げである医療費は、ドンドンと高くなります。売り上げは上がるのに、なぜか、利益が出ません。利益が出ない理由を突き詰めてみます。

医療業界は、特殊、閉鎖的。妙な倫理が横行している。此処から突き崩します。

◉医療業界には、特殊な事情があります。

クリニック開業以外は素人なので(クリニック開業に関しても素人に近いですけど)クリニックに焦点を絞ってみます。

・医学部という非常に限られた学部を卒業し、大学、病院などの医局に所属し、縦も横も非常に繋がりが強い。

・ご家族に看護師さん、歯科医、医師、薬剤師などの医療関連業の方が多い。家族経営が多い。

・開業後、医師会という組織や、内科医会、小児科医会などの組織に組み込まれる。

非常に不思議なのは、上記のように人間関係や組織などで、がんじがらめになるのに、クリニックの経営状態、経営方法、診療報酬の上げ方、利益率、外注検査の値段などに関して、秘密主義、閉鎖主義が極まっている。

別に隠すことはないですし、どれくらいの患者さんが来院され、どれくらいの処方箋枚数を発行し、どれくらいの売り上げで、利益はどれくらいか?年収は幾らくらいか?お互いに情報交換すれば良いに、全くと言っていいほどに行われません。

●1)医者が金の話をすると下品だと決めつける。

●2)経営が上手くいっていると、訴えようとする変な輩が来る。

●3)患者さんが多いと、近くにクリニックができる。

●4)医者は儲かっても言ってはいけない。人の病気で食べているから。

ブラックが耳にしている理由が、●1)〜4)です。人の病気で食べているわけですから、派手に遊んだり、貧しい方を貶めるようなことはしてはいけないとは思いますが、経営についてはオープンで良いと思います。

◉A)最悪なのは、外注検査会社、医療機器メーカーなどが、●1)〜4)を知っており、価格競争や価格交渉に乗ってこないことです。

◉世代の価値観が変わってきていますので、怯むことはありません。価格交渉しても、とやかく言う人は減ってきています。恥ずかしがらず、ドンドンと注文をつけましょう。

1)一番、ぼったくっているのは、クリニックの場合、外注検査会社です。

・外注検査会社は、血液検査、尿検査、培養検査など、全ての検査の費用が非開示です。

・クリニックに応じて、また、開業地区に応じて、値段を変えています。

・近隣地区の先生で費用を教えてくれる先生と相談し、価格を知ることが大事です。

・外注検査会社は、他の先生には言わないでください、と言ってますけど、大して安くしていません。

「他の先生には言わないでください。先生のところは特別ですから。」と言っていますが、口だけです。実際には、他のクリニックより高かったり、ひどい場合には倍の値段のこともあります。

完全に舐めきっているので、外注検査会社と価格を決める場合には、契約書を交わしてください。また、値段を変更する場合には、事前に連絡し、契約、合意を交わす必要があることを文言として残して下さい。

(当院は、弁護士さんに契約書を作成してもらいました。機会があれば、ブログに契約書を載せたいと思います。)

契約を交わす以上は、検査項目の具体的な費用が必要になります。「契約を交わしたいので、各検査の費用の一覧を提出してください。」と医療事務さんに伝えてもらうだけです。

同時に、他の外注検査会社2社程度にも声をかけて、価格の一覧表を出してもらいます。この作業だけで、外注検査会社は、値段を下げてくるはずです。

◉外注検査を発注しているクリニックの先生に決定権があります。高ければ切れば良いだけです。

ボッタクっているくせに、「長い付き合いだから」、「温情で」とか言います。長い付き合いで温情を持ち出すなら、ボッタクリをせずに安くすれば良いだけですから、甘い顔をしない方が良いです。

先生が稼いだお金は、頑張って診療した結果ですし、職員さんが働いた成果ですので、厳しく臨んで良いと思います。医療業界も変わってきていますので、恥ずかしいとか、人に何と言われるか?とか気にしない方がいいです。

◉B)結構、あくどい酸素会社、内視鏡、超音波関連の会社。

あまり購入頻度が多くないですから、目立ちませんが、内視鏡機器、画像診断機器、超音波機器ほど、値段が変動するものはありません。

リースにしても購入にしても、費用を叩けるだけ叩きましょう。最終的には、「買わなければいい」のですから。当院は、20年前にリースで購入して、リースアップしたエコー機器を使用していますけど、初期診断には全く困りません。

酸素会社も同じです。外注検査会社ほど会社の数は多くありませんが、相見積もりをしないと、診療報酬と同額で契約しようとしたり、請求書を出してきます。目を通していないと何をするかわかりません。

◉C)電話機、コピー機、ファックスなどの機器。

過去に記載した通りです。電話機器は、ボッタクリリース会社が存在しますので、5年以上の長期リースは危険です。親機1台、子機5台で、月額2万円〜3万円でリース可能です。これでも高い方です。

コピー機のリースは、カウンター方式で契約してください。1枚○円という契約にしないと、コピー機を丸々リースされると、月5万円とか取られます。

記載し始めたらキリがないですが、月々に支払う費用を削らないと、せっかく「70%〜90%オフ」の業界で生きているのに儲けが出ません。

上記のコストを徹底すると、ジワジワと現金が貯まり始めます。それだけ、相手のストックビジネスに高値で囲い込まれているということです。忙しいですけど、請求書、明細書、リース契約書などは、細かくチェックした方が良いと思います。

相手は、忙しいと知っていて、面倒臭いと知っていて、「わざと、ややこしい」書類を持ってきています。医学部を出た脳味噌をフル活用して、巧妙な罠を見抜いてください。

クリニックの院長先生の年収が高い理由。

国家資格を持った方は給与が高いです。看護師さんの人件費は高いです。ただ、よく考えると、院長先生の人件費が高いです。勤務医の先生の平均年収:1500万円〜2500万円ですが、開業医の先生の平均年収は、3500万円〜5000万円です。

ただ、開業による経営のリスクを負っていること、診療時間以外の拘束時間が長いこと、医療訴訟、労務訴訟などの法的リスクを負っていること、など、調べたり、ネットで検索すると理由がズラズラと列挙されています。

こういう理由は、取ってつけた理由です。実際、一番大事な理由が抜けています。

◉資本主義経済では、リスクを取って起業した人間が、給与を多く取るのが当たり前です。

国内だけではなく、海外でも同様です。大企業、ベンチャー企業、小さなパブ、どんな企業でも、経営者が給与を取るようにできています。

なぜなら、そういうシステムにしないと、誰もリスクを抱えて起業しないからですし、責任を背負って働かないからです。

クリニック、病院、歯科、介護、看護、薬局など、全ての医療関連業の方に伝えたいのですが、お金を稼ぐのに手っ取り早いのは、独立起業することだと思います。

30歳代〜50歳代の先生は、自信があるのでしたら、クリニックを開業するべきと思います。患者さんのためにも、良い医療を提供するためにも、新しい医療と医学情報を搭載した、先進的なスペックの先生を地域医療は必要としています。

看護師さん、介護関連の方も同様です。訪問看護や介護は、医療と比較すると利益率は低いですが、まだまだチャンスはあると思います。

医療事務さんも同様です。小さくても、医療事務さんが5人集まって、医療事務さんの派遣会社を立ち上げると、充分に経営は成り立つはずです。

ただ、労働力、情報、知識に加え、責任能力が無いと独立開業、起業は難しいので、よく考えて、ご家族と相談してから決断すべきです。

日本の医療業界が、「70%〜90%オフ」の状況のうちに決断するべきと思っています。

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