クリニックは、ストックビジネスです。
◉クリニック経営は、ストックビジネスという認識を強く持つ。
・高血圧、糖尿病などの患者さんは、一度、通院を開始すると、なかなか通院を止めることはできません。
・通院を中止しても良いですが、脳卒中、心筋梗塞などのリスクが高まるので、通院の中止は医師として勧めません。
・逆に、高血圧、糖尿病の治療を継続すると、脳卒中、心臓病の発症リスク、死亡リスクを抑えることができるので、通院には充分に意味があります。
・患者さんは、「通院し続けるというストックビジネス」に取り込まれていますが、良質、先進的な医療サービスを受けることができれば、ストックビジネスに取り込まれるのは悪いことではありません。
・強引に患者さんをストックビジネスに取り込まなくても、丁寧な診療を提供していると、徐々にかかりつけの患者さんは増え始めます。「ストックビジネスに取り込まれてもいいよ。」という患者さんの意思表示です。
クリニック経営において、かかりつけの患者さんを増やさないと売り上げは伸びません。売り上げが伸びないと、人件費を増やせず、労働力不足に陥ってジリ貧になります。
⚪︎かかりつけ患者さんは、歳を重ねて他界されますので、常に新規かかりつけ患者さんを増やす、という気持ちを抱いておきましょう。
・「かかりつけ患者さんを増やす」という方針は、経営者の先生の心の中に抱いておくべきです。「かかりつけ患者さんを増やす」と声高に述べていると、職員さんから周囲の住民、医療関係者に知れ渡ってしまいます。
・「丁寧に診療した結果、通院の必要があり、かかりつけ患者さんになった」という過程が重要です。悪評に繋がる可能性もあるので要注意です。
基本、丁寧、誠実な医療を行い、中期経営計画に基づいて経営を行うのですが、逆に警戒しないといけないことは、
◉無駄なストックビジネスに取り込まれないことです。
⚫︎高いコストの外注検査会社と契約をしてしまう。
⚫︎費用の高い警備会社に警備依頼をする。
⚫︎無駄に高いリースを組む。超音波検査機器、電話、コピー機、ファックスなど。
⚫︎無駄な宣伝広告を行う。(効果が不十分な看板、広告は、契約を解除しましょう。)
まだまだありますが、毎月の費用を支払っている時点で、相手のストックビジネスに取り込まれているということです。外注検査や警備費用は必要なものですが、無駄に高い時点で完全に取り込まれているという以上に、「情報弱者として搾取されています。」
クリニック、ぼったくりの具体例は、こちらです→https://町医者の博打と投機と良い医療.com/clinic-open/ボッタクリを知る機会%E3%80%80クリニック外注検査費用/
経営者の先生は、お忙しくて時間がありませんが、「相手は忙しい所を故意に狙って」きています。先生の奥さまと協力して、一つ一つ、契約を見直し、相見積もりを行い、月々の搾取系、ぼったくり系の費用を削っていきましょう。
小さなことをコツコツと積み上げると、年間の決算では数十万円〜数百万円動きます。当院は、外注検査だけで1200万円浮きました。他の費用を含めると、年間で2000万円近く無駄な費用を削ることができました。
相手のストックビジネスに取り込まれ、搾取されるということは、恐ろしい被害が生じます。しかも、知らず知らず、年間:2000万円ですから洒落になりません。
見落としがちな搾取系ストックビジネスを見直してみます。
学会費用と刊行物は、完全に搾取系です。(必要な学会は仕方がありません。)
◉学会の入会した頃を思い出してみる。
・学会は、研修医時代に入会していることが多いです。その次は、専門医を取ろうと考えた時が多いです。開業後に学会に入ることは少ないです。
・学会発表の際、入会し、そのまま継続していることが多いです。
全く個人的な見解ですが、専門医を持っている学会以外は、入会しているメリットは殆どありません。(っていうか、無いです。費用を払うので、マイナスです。)
コロナウィルス感染症禍、学会に参加する機会が激減しました。また、学会からの刊行物が無くても、ネットで気軽に情報を得ることができる時代なので、「刊行物は、お金と紙の無駄」と考えています。
◉クリニックの財務をチェックして、無駄な会費、書籍代を削り落としましょう。
1)先生が必要と判断した学会以外は、全て退会する。
ほとんどの学会が年会費制です。年会費:1万5千円。
当院は、日本循環器学会、日本内科学会、日本糖尿病学会以外の学会は、全て退会しました。(専門医は持っていたいので、必要な学会は残しています。)
⚫︎日本脈管学会、日本生活習慣病学会など、3学会を退会。年間:4万5千円が浮きました。
⚫︎年間購読していて、目を通す程度の雑誌を全て止めました。年間:約10万円が浮きました。
学会費用と書籍代で、年間:約15万円です。10年で150万円と考えると大きいです。しかも、「学会の刊行物」と、「年間購読している書籍」が邪魔なので、一石二鳥です。
学会は、会員の会費で運営されていますので、会員になるということは、学会のストックビジネスに取り込まれたことを意味します。専門医、認定医を持っておられる先生や、学会発表、学会の刊行物を重視されていれば別ですが、基本的には、クリニック開業後、必要な学会以外は退会した方が良いと思います。(お金の無駄です。)
このような動きは当然、起こっているはずなので、日本内科学会、日本循環器学会、日本糖尿病学会などの大きな学会は生き残ると思いますが、それ以外の小さな学会は、生き残るのは難しいでしょう。
おそらく、長い年月をかけて、大きな学会のぶら下がりの支部程度に落ちぶれると予想していますが、関係ないことですし、興味はありません。
医局の退局は、先生の経営スタイルに左右されます。
◉開業後も医局に在局するか?退局するか?経営される先生の診療スタイルによります。
⚫︎退局:クリニックを開業後、大学と縁が切れる。医局に在籍する意味が無い。
⚫︎在局:開業後、大学病院に出入りしていたり、関連病院の外来診療、検査などを行なっている。
大学の医局は、医局員の数を確保しておきたいものです。しかし、医局に在籍していないと、大学の関連施設では勤務できない可能性はありますが、関連病院は勤務継続可能です。正解はありません。大学の医局、教授の意向による差が大きいです。
ほとんどの先生が退局しています。医局費:月:3000円〜5000円が浮きます。当院は、開業後、20年間、医局に在局していました。医局費だけで、3000円×12ヶ月×20年=72万円を支払っています。(大学病院、附属医療センターなどで働いていたので仕方がありません。)
医局に在籍しているから、先生に何かあった時に助けてくれるという保証はありません。退局して医局員でなくなっても、同門会に所属していれば、同門経由で助けてくれることが多いです。こちらも大学によって大きく異なります。
結論)必要性が乏しければ、積極的に退局しましょう。在局のメリットは、殆どありません。
(個人の自由ですから別に良いですけど、開業後も延々と医局に在局し、毎年、医局旅行、忘年会に参加される先生が居られました。泊まりがけの医局旅行を廃止した際、凄く怒られました。不思議な先生です。現在、全く関わることがなくなりました。)
クリニックの宣伝、広告。患者さんを集める方法とコストカットは、こちらです→https://町医者の博打と投機と良い医療.com/yabuisha/ヤブ医者のクリニック宣伝広告に学ぶ%E3%80%80患者さん/