クリニック開業 儲けるために建築と解体を安くする

医者は、相当に舐められている。

当院は、以前より記載していますが、築50年の鉄筋2階建て、父の建てたクリニックを解体し、「仮設診療所」を建て、その間、木造の「新クリニック建設」開始に至っています。

ここまでの流れで、「クリニックの解体」、「仮設診療所建設」、「新クリニック建設」を依頼するは医者ですが、騙された経験が多いので、警戒して、「薬局」、「介護施設」、「歯科クリニック」を新築、解体する方々、大勢を尋ねてまわりました。

設計、建築業者、「開業コンサル」は、医者ばかりでなく、これから新たに「開業する医療従事者の方」を舐めきっています。

相手の言うまま、開業すると金が幾らあっても足りません。心から気をつけて貰いたいです。

何を気をつけたらよいのか?

まず、開業する予定地ですが、本当に大丈夫でしょうか?

1)開業後、患者さん、利用者が来てくれるのか?シュミレーションは、1社で大丈夫でしょうか?

2)そもそも、その場所に開業する理由は何でしょうか?先生、起業者にとって有利でしょうか?こだわりのある土地でしょうか?

3)テナントを埋めたい場合や、土地やテナントの所有者からのニーズの場合、「仲介料」も含まれていますし、「テナント料」も継続して発生します。大丈夫でしょうか?

相当に遠くまで足を伸ばし、2年間かけて色々と調べました。業者、「開業コンサル」に対しても、ヒアリングを行いました。

●医者は、相場を知らない、値段は有って、無いようなもの。

●世間知らずと決めつけて、頭を下げて煽ててるだけ。

●開業後、経営が良いか悪いか?全く、関係ないし、責任もない。

ここからは医者を中心に記載しますが、「歯科クリニック」開業予定の歯科の先生、「介護施設」開業予定の経営者の方、「訪問看護ステーション」開業予定の看護師さんに向けても記載しているつもりです。

医者は、「患者さんを治すため」、「患者さんを看取る」、「患者さんの病気を見つける」ことに全力を注ぐのは当然と教えられていますし、それが信念だと思います。

だから、「患者さんが痛いと嘘をついている」、「患者さんが薬が欲しいから血糖を上げようとしている」など、疑うことは心にありません。(睡眠薬欲しさに嘘つく人とか、ズル休みのために診断書狙いで風邪のフリする人は除きます)

ですので、ビジネス観点上、疑うことを知らないケースが多いです。さらに、「医療業界」は特殊なので、建設、建築関係者が医療のことが全くわからないことと同じで、医者は、建設、建築、経営について情報が乏しいです。

そこを「開業コンサル」は突いてきます。彼らもビジネスであることを充分に理解して警戒されてください。

警戒し、常に情報源を求めて、契約書捺印を急がない。

本当に良かったなぁと思ったのは、

ボッタクリ被害に遭いまくっていたので、契約書を熟読し、顧問税理士の先生に相談して、家内と相談して、納得してからじゃないと捺印しない「警戒モード」だったことです。

まず、クリニックでも施設でも、「設計」を依頼するのですが、恐ろしいことに、

●「予算」を聞かない業者があります。

●5年後までの中期経営計画書を出さない「開業コンサル」があります。せめて、集患シュミレーションは必要です。

信じられませんけど、会社を経営するのに、経営計画が無いことがあり得ません。まあ、ありきたりの言葉で、「海路の無い船出」でしょうけど、敢えて「目的が分からないけど、開腹する」にしておきます。

まず、絶対に「予算」を上げます。ざっくりではダメです。建設会社でも設計会社でも「開業コンサル」でも、

●「医者は稼いでるから、いいだろ」と思っている可能性があります。

●「医者っは、年収数千万なんだろ?すぐ、返せるよ」と思っている可能性があります。

医者であろうと、会社員の方であろうと、1万円は同じ1万円ですし、「お前、代わりに1億円、借金してみろや」という気持ちで臨んでください。「開業コンサル」は、先生のことを一案件としか思っていません。信頼している、助けてくれている、と勘違いしないでください。逆に、「どれだけ費用を叩き、タダ働きさせてやろうか」と考えてください。

当院の開業地区は、人口8万人、漁港近辺、高齢者地区、市の中心部まで車で30分です。少し離れた場所で開業した先生の失敗例。

●夜逃げした「整形外科」:「新規開業」、土地取得、鉄筋3階建て、手術室完備。

2億8千万円:開業3年目に夜逃げ。

●倒産した「産婦人科」:「新規開業」、「メディカルモール」に組み込み開業。周りの「小児科」、「内科」と共に経営難:倒産(土地の持ち主と「開業コンサル」の言いなり)

整形外科の先生は、のせられたのでしょうが明らかな判断ミスです。近くに手術可能な大学病院、民間病院があるのに、手術室を完備して何をしたかったんでしょうか?逆に、同時期に開業した「整形外科+リハビリテーション」の先生は大成功しています。

2億8千万円は、当院の地区では返せないです。院長先生の手術経歴も大したことがなかったです。

「メディカルモール」は相当に曲者です。人口増加地区としても、やはり、患者さんは、簡単に「かかりつけ医」を変えないですし、マンションや新興住宅地に「メディカルモール」を作っても、住民全員が病気で「メディカルモール」に来る保証はありません。

さらに、「メディカルモール」のオーナーと「開業コンサル」の出来レースってのがあり、「新規開業」の先生が開業資金を全て出しますが、「テナント料」、「仲介料」は、「メディカルモール」のオーナーと「開業コンサル」に流れる訳ですから、かなり警戒して欲しいです。

「メディカルモール」の開業に失敗しても、空きテナント、空き地になるだけですし、また、次の借り手を探すだけです。

一方、「新規開業」の先生には、借金と辛い過去が残るので、安易に開業せず、慎重に考えられてください。

「メディカルモール」にしても、「開業コンサル」にしても、「設計会社」にしても、相手はプロです。患者さんが幾らネットで知識を充填しても、専門医に敵わないのと同じです。安易に契約書に捺印せず、一旦、持ち帰って、顧問税理士の先生、顧問弁護士の先生、開業経験の長い先生に相談してください。

●落とし穴は、「開業したばかりの同級生」や、「開業して数年の先輩、後輩」です。この先生方も同じ程度の額の借金をしているので、「そんなものだよ」とコメントする可能性があります。

同じことをしていては、仕事にしても経営にしても旨みは全く無いです。経営に行き詰まって、当直を繰り返したり、奥様、ご家族のご負担を増やしてしまいます。誰も責任を取ってくれません。ビジネスは冷たいものです。

医師会でも病院の重鎮でも、誰でも良いですから、頼み込んで、「地域で成功している同じ科の先生」を何人も訪ねてください。

適当なことを言われる可能性がありますが、成功しているってことは、地域の有力な開業医の先生ですし、医師会の紹介だと、「責任は持てないけど、ちょっと厳しいんではないか?」、「私では分からないので、知り合いを紹介しよう」くらい言ってくれる可能性はあります。

知らないで突っ走るよりは、リスクは低いです。

開業コンサル、設計会社の決まり文句。

「開業コンサル」、「設計会社」の決まり文句があります。

●「先生は、どなたかご贔屓の建設会社さんをお持ちですか?」

常套句です。格好の餌食になります。当院は、契約書に捺印しませんでしたから何とかなりましたが、

まず、「開業コンサル」が建設会社を3社〜4社用意しました。

A社:建築費用 9000万円 解体費用 1500万円 合計:1億500万円

B社:建築費用 8500万円 解体費用 1300万円 合計:9800万円

C社:建築費用 8000万円 解体費用 1000万円 合計:9000万円

一見、相見積もりしている感じです。でも、これは、A社、B社の建設の順番では無いだけです、多分。

・「開業コンサル」:「まあ、値段的にもC社ですよね」みたいなこと言いました。

当院では、こいつら怪しいなって思って、家内の知り合い経由で、大手ゼネコンD社を見積もりに入れました。結果、

・D社:建築費用 6000万円 解体費用 750万円 合計:6750万円

もう、無茶苦茶ですよ。さらに、「開業コンサル」は、「設計料」が350万円、「設計管理費用」:300万円だったのですが、

・D社:「設計管理費用」ってなんですか?

・「開業コンサル」:設計書通りに建設されているか、チェックします。

・D社:あんた方、無茶苦茶言うね。設計通りに建築するのは当たり前でしょ?

・「開業コンサル」:D社さんは、そういう仕事の仕方をするんですね?

と揉めていました。そこからの「開業コンサル」の仕事の適当ぶりには驚きました。

当初、「設計図通りにPC内で構築して、完成後のクリニックを見ることができます。建設後、構造、外装、内装が、PC内のクリニックと同じですから驚きますよ。」とか、偉そうに言ってたのに、そんなのも吹っ飛ばして、設計図を作って終わりです。

「開業コンサル」は、全国規模の医療系の設計会社です。こういう有名な会社でも、こんな下品なことするのか?と思いました。一緒に、建設会社C社も儲け損なったということです。

他にも削れるところがガンガン出てきて、結局、「3000万円程度」、差が出ました。

当院は、継承建て直しですので、「かかりつけ患者さん」も「強固な医療地盤」も持っています。年間の利益が1500万円なので、言いなりに建てていたら、3000万円程度、2年間、タダ働きになっていました。

「新規開業」の先生は、充分にお気をつけください。

●ウッドショックで、資材が高騰しています。

●解体は、産廃が厳しくなって、高いんですよ。

●コロナで流通に影響が出ています。

と言うと思うのですが、木造二階建て、建坪60坪程度なら、大手ゼネコンなら7000万円未満で建てることが可能ではないか?当院の経験上の感想です。(建設会社を幾つもあたって、見積もりをだしてもらってください。言いなりは危険です。)

同業者の皆様に余計な苦労、タダ働きをして欲しく無いし、そのご家族にも幸福になって欲しいと純粋に思っています。

どうか、警戒モードで臨んでください。どこかで、「医者って金持ちだからな」と思われている雰囲気がありますよ。

(「開業コンサル」全ての会社が悪い訳ではありません。「建設会社」、「設計会社」、「メディカルモール」についても同様です。あくまで、今回、当院が経験した事実を記載しております。誤解のないようにお願いいたします。また、建設会社の見積もりに関しましても、おおよその額を載せておりますが、相見積もりの全てが、この記載に当てはまるわけではありません。開業される方にお気をつけいただきたい、という警告の意味で経験した事実を記載致しました。)

開業にあたっては、疑問点、不明な点は適当に流さず、また、安易に契約を交わさず、しっかりと詰めてから契約をされるようにご注意ください。額が額だけに。