2022年3月の全国内科クリニックの売り上げ平均。財務考察。
2022年2月は、東京、大阪などの大都市では、新規コロナウィルス感染症患者さんが爆発的に増えました。東京は、1日2万人とか報告され、全国でも、新規感染者数:10万人、死者:200人以上の報告が相次ぎました。
3月に入ると、高止まりと言われつつも、徐々に感染者数が減少し、東京は明らかにピークアウトしています。ただ、3月から4月にかけて、全国の新規感染者数は、4万人前後、報告されていますし、何より、ブラックの開業地区、田舎、地方は、クラスターが相次いでいます。
病院に勤務されている先生、看護師さん、医療事務さんなどの職員さん、入院中の患者さんが相次いで感染し、クラスター認定。結果、病院が救急患者さん、入院患者さんの受け入れを停止したり、クリニックの先生が感染し、1週間、休診したり、バタバタと過ごす状態が3月から4月下旬の現在まで継続しています。
遅くなって申し訳ありません。2022年3月のデータです。全国の内科クリニック(透析を除く)の売り上げ平均、レセプト枚数などのデータを考察してまいります。
⚫︎此処は毎月の繰り返しなので、既読の方は、すっ飛ばしてください。
このデータは、全国の医療系税理士さんが入力しているものを頂戴しています。クリニックの経営に熱心で、レセプト単価、来院回数などを気にしている経営者の先生の顧問税理士さんのデータですので、経営に積極的な先生、経営上位10%のクリニックデータと言われています。当クリニックは、過去4年間、このデータを利用していますので、ご了承下さい。
全国の内科クリニックの売り上げ高。1月からの変化を考察。
・2022年3月:1005万円(2021年3月:972万円) プラス3.3%
2022年2月、コロナウィルス感染症、オミクロン株の影響で、マイナス3.5%、845万円の平均でしたし、2022年1月も、マイナス4.0%、820万円でした。
各内科クリニックの赤字、黒字は分かりません。しかし、昨年よりも売り上げは増えていますし、2月、3月と比較して、大きく売り上げが伸びています。
コロナウィルス感染症が発生する前は、例年1月、2月は、インフルエンザの患者さんが多く、内科は忙しかったのですが、此処2年間、低調な数字でした。
1)1月は、年始の休日、祝日があり、診療日数が少ない。2月も同様、診療日数が少なく、売り上げを伸ばしにくい。
2)内科、高齢者の患者さんは、コロナウィルス感染症の拡大、寒いので動きたくない。検査は暖かくなってから。定期薬の処方で帰宅される。
3)コロナウィルス感染症発生から3年目の3月。コロナウィルス感染症と常に隣り合わせの状況に患者さんが慣れてきた可能性がある。
以上が理由でしょうか?1月、2月は、内科クリニックの売り上げが少ないのですが、コロナウィルス感染症が収まっていないのに、2022年3月、内科クリニックの先生方は、大幅に売り上げを伸ばしています。
昨年の3月の平均売り上げ高:972万円から、2022年3月:1005万円と1000万円を超えています。
1)暖かくなって、年度末の特定健診や検査の患者さんが増えた。
2)診療日数が多く、売り上げを伸ばしやすかった。
理由は様々でしょうが、売り上げが伸びて良かったと素直に喜んでいます。リフィル処方箋の導入という内科の狙い撃ちが行われていますから、みんなで一緒に頑張りたいです。
全国の内科クリニックのレセプト枚数の変化。医療全体までを考察。
2022年3月:856枚(2021年3月:792枚)、前年同月比:プラス8.0%
2022年2月:781枚(2021年2月:748枚)、前年同月比:プラス4.4%
2022年1月は、861枚(2021年1月:723枚)、前年同月比:プラス19.1%
(レセプト枚数って、純粋に患者さんの数。1人1枚なので、同じ患者さんが同じ月に何回受診しても1枚です。)
上記のように3ヶ月連続でレセプト枚数が増加しています。コロナウィルス感染症が拡大、遷延している中、内科クリニックの先生は、大健闘なのではないでしょうか?偉そうに評価する立場ではありませんけど、レセプト枚数の増加に関しても、売り上げ高の増加と同じく、素直に喜びたいです。
他の診療科(整形外科、皮膚科、眼科、耳鼻科など)も見てみましたが、内科と同様に盛り返していました。内科クリニックの売り上げ、レセプト枚数は、他の診療科とリンクするので、内科が良ければ、他の診療科も良いですし、「逆もまた、真なり」で、他の診療科が良ければ、内科も良いです。
ただ、「逆もまた、真ならず」な点があって、耳鼻科、整形外科が悪いのに、それほど内科は悪くない、というのが感染症の拡大の際に度々、起こりました。
⚫︎花粉症の際、耳鼻科に受診しなくなった。内科での処方を希望された。
⚫︎リハビリテーションの回数を減らしたり、骨粗鬆症の内服薬、湿布などの外用薬などを内科で処方してもらう患者さんが増えた。
上記理由で「逆もまた、真ならず」が起こった過去がありました。
話が逸それましたが、1月の最悪な状態、患者さんの数は多いが、売り上げが激減した、という、数字から推測していた、「発熱者ばかり診療して、かかりつけ患者さんの検査ができず、一人当たりの単価が減り、忙しいばかり」という、内科、発熱外来の影響は薄れてきたようです。
全国の内科クリニックの患者さん一人当たりの単価。
2022年3月:1174点(2021年3月:1228点) 前年同月比:マイナス4.3%
2022年2月:1082点(2021年2月:1160点)前年同月比:マイナス6.7%
2022年1月::952点(2021年1月:1181点)前年同月比:マイナス19.4%
非常に綺麗なデータだと感じました。患者さん一人当たりの単価が回復しています。
1月、猛烈に単価が下がっていました。繰り返しになりますが、発熱者、感染症の患者さんの診察比率が増加し、レセプト枚数が増えても、単価が下がっていたのだと思います。
2月は、診療日数が少なく、そもそも、「ニッパチ」と呼ばれ、お客さん相手の商売は、「2月と8月は、売り上げが悪い」ですし、データとしては参考程度にみていましたが、これだけ3月に入っても回復基調が続くと、コロナウィルス感染症の拡大による「クリニック財務へのマイナスの影響」は限定的になるかもしれません。
内科は、やはり、検査を行わなければ売り上げは伸びません。売り上げを伸ばすには、一人当たりのレセプト単価を増やすしかないので、3月、レセプト枚数:前年同月比:プラス8.0%、レセプト単価:前年同月比:マイナス4.3%と、「レセプト枚数のプラス」が「単価のマイナス」をカバーし始めました。そのうち、「単価のマイナス」が消えていくと予想できます。
⚪︎1月、2月に行えなかった患者さんの検査を行えるようになった。
⚪︎3月、年度末であり、検査が多い月である。
上記理由は、新年度にも引き継がれるでしょう。コロナウィルスワクチン接種3回目が進捗し、気温も上がることから、コロナウィルス感染症が大人しくなってきて、クリニックの財務の回復が期待できます。
ただ、前述しましたが、東京は明らかにピークアウトしていますが、ブラックの開業地区、大都市から離れた田舎は、感染症による入院停止、休診などが相次いでいます。
今回のゴールデンウィークは、コロナウィルス感染症の発生以降、「初めて、移動制限の無いゴールデンウィーク」ですので、感染症の再拡大が起きないことを祈っています。
当クリニックの2022年3月の財務状況。
全国の内科クリニックの売り上げ評価を行なって、終わることができると格好が良いのですが、財務が良かろうが悪かろうが、医師会の表であろうが裏であろうが、個別指導であろうが開業コンサルであろうが、人材派遣・紹介であろうが、全てを正直に記載するのが「町医者ブラックのメディカルブログの真骨頂」ですので、2022年3月の財務報告を行います。(いいよ、別にって方は、すっ飛ばしてください)
⚪︎当院の売り上げ高。
2022年3月:980万円(2021年3月:954万円) プラス2.7%
⚪︎当院のレセプト枚数。
2022年3月:810枚(2021年3月:815枚) マイナス0.6%
3月は、癌の患者さんの看取りとか、緊急往診とか忙しかったのですが、売り上げ高、レセプト枚数ともに、全国の内科クリニックの先生方の平均より低いです。昨年と殆ど変わらないな、という感想です。
言い訳:漁港付近、人口8万人の地区、政令指定都市の中心部まで車で30分間の距離です。少子高齢化地区ですので、変わり映えしない数字が続きます。仮設診療所に移動して4ヶ月経過していますが、来院患者さんの状況に大きな動きはありません。
⚪︎当院の患者さん一人当たりの単価。
2022年3月:1211点(2021年3月:1172点) プラス3.3%
患者さん1人当たりの単価が大きく改善しました。患者さんの看取り、在宅酸素の患者さんが増えた、特定健診、血液検査などの患者さんが多かった、などが理由です。3月は、結構忙しく働いており、先月のブログでも「期待している」と自分で書いているので、実感通りで良かったです。
◉2022年3月は、220万円の黒字で着地しました。
3月は、明らかに出費が少なかったです。外注検査費用:76万円、医薬品の仕入れ:25万円でした。
自費収入、雑収入を含めると、当院の売り上げは、1050万円くらいです。そのうち、血液検査の外注費用:76万円です。当院は、血液検査、尿中アルブミン検査、尿細胞診検査など、全て外注です。毎月、60万円から80万円程度の外注費用です。
月:1000万円の売り上げに対して、毎月、60万円から80万円程度の外注費用です。比率は、高く見積もっても、80万円÷1000万円×100=8%です。
この数字が、15%以上のクリニックが多数、存在します。どうか、外注検査会社に検査費用の見積もりを提出させたり、他の検査会社への相見積もりをご検討ください。
ボッタクリを回避。外注検査会社の変更は、こちらです→https://町医者の博打と投機と良い医療.com/clinic-open/ボッタクリを知る機会%E3%80%80クリニック外注検査費用/
新クリニックの建設にあたり、新たな費用が発生しています。まだ、払ってないけど。
1)地盤脆弱部分が見つかり、地盤の強化が必要となった。200万円。
2)新クリニックの裏手の崖に対して、擁壁が必要となった。400万円。
非常に悲しいですが、実は、3月、地盤強化費用を稼がなければ、と頭の隅に思いながら、日々の診療を頑張りました。
外来診療を行う先生が、今月、売り上げを伸ばそう、と考えて診療するだけで、売り上げのブースト効果が5%〜10%起こる、と言われています。3月、売り上げを伸ばせたのは、地盤強化のお陰なのかもしれません。
4月、5月で擁壁代を稼がないといけない、と日々、診療しています。もちろん、良質な医療を提供する前提ですので、患者さんに不快な思い、過剰な医療を提供してまで売り上げを伸ばしてはいけないのですが、この線引きが曖昧なので、経営者の判断、診療される先生のバランス感覚は大事だと思います。
2022年2月の全国内科クリニックの売り上げ、コロナ経営直撃は、こちらです→https://町医者の博打と投機と良い医療.com/clinic-open/全国の内科クリニックの売り上げ%E3%80%802022年2月%E3%80%80コロ/