クリニックの昼休みをどうするか?
クリニックや診療科によって異なるとは思いますが、「昼休み」をどのような体制にするか?職員さんから見ると、すごく大事なことです。
●「昼休み、休憩室で電話に出る」→サービス残業と同じことを強要している。
●「昼休み、待合室を開放し、対応している」→サービス残業以上に鬼業務。
この2点を徹底しているクリニックって、実は少ないです。
1)眼科、耳鼻科、皮膚科、整形外科などは、比較的、「昼休み」、玄関を施錠し、「留守電対応」している。
2)循環器内科、呼吸器内科、糖尿病内科など、救急疾患のあるクリニックは、「昼休み」、職員さんに対応させていることがある。
3)在宅訪問診療、一般内科などで、「昼休み」、職員さんに、電話、受付、時に診察の対応をさせていることがある。
「かかりつけの患者さん」が「低血糖」、「心不全」、「喘息発作」で急な対応が必要となるかもしれない、と考えて、昼休みの待合室を開放している先生は多いですが、逆に危ないとブラックは考えています。
「昼休み」の待合室ほど危険な場所はないです。職員さんは、「昼休み」で休憩室に入ってしまっていますし、受付の方も同様です。さらに院長は、往診に行ったり、会議に出かけたり、「昼休み」休憩であったり、不在であることが多いからです。
●「昼休み中」、待合室で倒れ、心肺停止状態で見つかった。
●「昼休み、待合室で待っている」、と患者さんに言われ、見に行くと、転倒して大腿骨骨折して時間が経っていてトラブルとなった。
他にも「昼休み中」の事故は多く、医療訴訟、医事調停で問題になります。
患者さんの容体も大事ですが、職員さんの「昼休み中」の就労は違法とみなされる可能性が高いですので、「昼休み中」に電話対応している場合には、
◉せめて、「電話当番」の順番をローテーションで回し、「電話当番」の方は、昼休みをズラしてとる。
◉「電話当番」の場合には、電話当番の費用を払う。
「電話当番」をローテーションするようにして、手当をつけたり対応しないと、いつも同じ職員さんが電話に出るようになり、退職の理由になることがあります。(なかには、新人さんが「電話当番」と決めている酷い職場もあります。)
「昼休み中」、患者さんが待合室に入ってくる、不審者が入ってくる、などの事故、事件の引き金となり得ますので、「昼休み」を安易に考えない方が良いようです。
(クリニックへの放火という痛ましい事件がありました。今後、不審者侵入、盗難などへの警戒を強めた方が良いです。職員さん、患者さんを守るため、回り回って、自分と家族とクリニック(会社)も守ることになります。)
昼休みを留守電対応にして施錠しても、集患に支障なし(ブラックの調査と考え)
当院は循環器内科ですので、急性心不全、心筋梗塞、狭心症、不整脈などの循環器全般の疾患を当然に診ています。診察中の救急は、他の患者さんに待って頂いて対応しています。
加え、在宅訪問診療で癌の終末期の患者さんを看取っていますし、気管支喘息発作、低血糖などの患者さん、肺炎、急性膵炎などの救急も患者さんも診ています。
開業して20年経ちました。「昼休み」の対応を段階的に狭め、3年前から「昼休みの電話対応を行なっていません」。在宅患者さんの緊急連絡は、ブラックの携帯電話に連絡が入ります。
→「昼休み」、電話が通じないって文句言う患者さんは、「ゼロ」
→「昼休み」、待合室が空いてないので、転院しますってのも、「ゼロ」
→「昼休み」、救急対応を求められたってことも、「ゼロ」
患者さんは減るどころか、増えています。ブラックも、当初、「急性心不全」、「急性心筋梗塞」、「気管支喘息発作」などの患者さんが昼休みに来たら申し訳ないし、「待合室を開けておこう」、「電話、出てもらうようにしよ」って思ったんですけど、余計な心配でした。
◉患者さんのため、昼休みを解放しようと考える必要はない、という結論です。
●状態の悪い患者さんが、昼休み、クリニックに来る時代は終わった、という感想です。
●「昼休み」、電話を何度もかけてきたり、待合室で待とうとする患者さんは、マイナス方向の患者さんなので、来なくていい、という経営観念です。
●町にクリニックが1件しかない、過疎地域の数件のうちの1件の診療とかなら、「昼休み」、開けるしかないのかもしれません。
●急性疾患、動けないなど、状態の悪い患者さんは、救急車を要請して総合病院に搬送する方が患者さんにとっても良い。
昼休みに電話に出る、診療対応する場合には、お給料を払う
ブラックには経験はありませんが、「昼休み中」に診療したり、「電話当番」を行っている場合には、手当をつけた方が良いです。(退職理由になり得ます。)
◉「昼休み」、診察に対応した看護師さん、受付事務さんは、「昼休み」をズラして取るようにする。
◉「電話当番」を決めておかないと、毎回、同じ看護師さん、医療事務さんが対応するので、「電話当番」を決める。
◉「電話当番」は、1当番=500円など、「電話当番費用」を支払った方がよい。
以上の対応くらいはした方が良いです。「医療、医業は、特別」という考えを職場に持ち込まない方が良いです。
「昼休み」は、しっかり休憩を取れるようにする。
○「昼休み」、休憩室でゆっくりと休んでもらう。スマホを弄ったり、昼寝したり、リラックスしてもらう。
○「昼休み」、食事を買いに近くのコンビニに行ったり、銀行にお金を下ろしに行く職員さんもいる。
○「昼休み」を明確にしていないと、数回、「昼休み」がないだけでも、「あそこは昼休みも無かった」と悪評の原因になります。
看護師さん、医療事務さんに対しては、「昼休み、しっかり、とってください」って言うように心がけ、「昼休み」(当院だと12時半)になっても外来診療が続いている場合には、
1)パート看護師さんが帰宅できるように、常勤看護師さんが外来診療補助を代わる。
2)診察補助について「昼休み」が減った場合には、その分、「昼休み」を長めに取って補ってもらう。
3)職場全員で時間に厳しい雰囲気を作る。「サービス残業」や「昼休み返上」を行わない雰囲気。
これは¥、看護師さん、医療事務さんのためのように感じますけど、実は、「残業に対しての意識」へのマインド改革の一端です。
●残業をするのは、普通じゃない
という意識を生じさせる目的があります。看護師さんの残業時間は少ないですが、医療事務さんは、残業時間が増えがちです。可能な限り、残業を減らすように職場を変えていかないといけません。
「昼休み」をしっかりとり、「電話対応」も無くなるので、今度は、効率よく仕事をこなし、定時で上がれる職場改革を目指しましょう。でなければ、永遠に人不足の負け組です。
残業代が給与の一部として常態化している
医療事務さんに多いのですが、残業代が毎月:3〜5万円程度、貰える、との計算の上、勤務している方がおられます。(残業時間:1人:月20時間以上など)
「残業費用取得の常態化」は、クリニック(会社)にとって、良くないです。責任と原因は、経営者にあることが多いです。
●人が少ないから仕方ない→職員さんの採用は、経営者の責任。
●医療事務さんの募集が来ないから仕方ない→魅力のある職場を作っていない経営者の責任。
●業務が多いから残業している→全て、医療事務さんの仕事ですか?医者ができる仕事を押し付けていませんか?
例えば、「病名をつける」、「レセプトへの病状詳記の添付」、「カルテの病名整理」、「介護保険主治医意見書の記載」、「生活保護医療要否意見書の記載」などは、医師の仕事です。
頑張っている先生を責めるつもりは毛頭ないですが、業務の効率化、定時帰宅を目指すことが、結果として職員さんの離職率を下げます。
当院では、電子カルテを導入し、業務を加速させて、上記業務も全て医師が行なっています。もちろん、事務作業は、医療事務の方にしてもらいますが、残業が殆ど無いのは、「医師の業務を医師が行なっている」からです。当然ですが、「当然のことが当然で無いクリニックをブラック」と呼びます。
残業代を払わなくて済めば、財務も良くなるし、基本給を上げたり、手当をつけた方が職員さんも幸福だと考えています。
逆に、全てが常態化しているクリニック、病院は、「ブラック」なので、職員さんは逃げた方が良いです。