情報戦を制して、企業として生き残る
医師会で協議した内容なのですが、未だ、医師会作成の給与早見表を参考にして、職員さんの基本給、昇給幅を決めている先生がおられることに驚きました。(殆どの医師会で給与早見表は廃止されています)
医師会の経営会議の委員は、当院の院長がダントツに若くて(49歳でダントツです。如何に高齢化しているかが分かります。)他の委員は、60歳〜70歳くらいの先生が多いです。
●医師会作成の給与早見表は不要だと思います。
給与早見表は、医師会が、看護師さん、医療事務さんの基本給を第1号俸〜第20号俸まで作成して、一覧にしています。経営者が、この早見表を参考に基本給を設定したり、昇給幅を決定しています。
准看護師:第1号棒:158600円、第2号棒:160600円という感じで一覧表になっています。
昇給の際は、第1号棒から第2号棒へ基本給を昇給、というように職員さんに伝えるようです。
「そもそも、こんなの、誰が見て給与を払うんだよ」と発言したら、周りの殆どの委員が、「私は、見ています」と発言して、逆に、『先生は、どのように給与を決めているのですか?」と質問されました。
「医師会の役員は、暇な奴がするのか?」と思いますが、医師会は旧態依然とした組織で、過激な発言をすると恐ろしい目に遭うので、丁寧に以下を説明しておきました。
●基本給、業務形態については、各クリニックが独自の特色を打ち出し、採用に力を入れている。
●ママさん世代が働きやすいように、出勤時間をずらしたり、短時間型常勤として採用している。
●基本給、賞与、手当に関しては、顧問の社会労務士の先生に作成を依頼しているクリニックが増えている。
●作成した基本給、賞与、手当などは、就業規則に添付している。
●当院の院長が知る限り、医師会作成の給与早見表を参考にしているクリニック、病院は無い。
以上を説明しましたが、他の委員の先生方の反応はイマイチでした。
ネットの情報を得つつ、逆にネットを利用して情報を発信し、集患や人材募集に動くは、今の世の中では当然なので、医師会の委員がこの状態なら、しばらく、当院は負けないと感じました。変わらない医師会、委員たちを尻目に、情報戦を戦い抜いて、しっかりと勝利を収めようと考えていました。
医師会顧問の社会労務士は使いません。
医師会の顧問社会労務士の先生は、高齢な先生が多いです。適当、雑、面倒くさがりです。医師会からの顧問料を貰って、余計な仕事をしたく無いのは分かります。
クリニックの先生ばかりではなく、歯科、介護施設、訪問看護ステーションの経営者の方は、独自に顧問の社会労務士の先生との契約をお勧めします。当院は、社会労務士の先生にお世話に成って、復活しました。
経営者の目線に立てる社会労務士の先生と契約すべきですので、色々な先生に感触を尋ねてから契約されてください。
社会労務士の先生にお願いすることは、
●古い就業規則の見直し。
介護、育児、ハラスメントなどについて、就業規則が抜け落ちていることが多いので作り直してもらう。
●現在の就業状態に違法性は無いか?
賃金ばかりでなく、昼休みの取り方、往診業務、忌引、病欠など、全ての項目を見直してもらい、現状、違法状態でないかを確認してもらう。
まずは、就業規則を時代に合ったものに作り直してもらうことが大事です。新規開業の先生は大丈夫なことが多いですが、継承された先生は、就業規則が古いままになっていて、タチの悪い職員さんにつけ込まれることがあります。
加え、社会労務士の先生に助力いただくのは、就業規則以外に重要項目が2つあります。
○助成金の獲得。
○有給休暇の計算。
この2つは、経営者が面倒臭くて敬遠するものです。有給休暇については、職員さんに有給休暇を教えてあげた方が良いですが、これは、職員さんから社会労務士の先生に尋ねてもらう方が早いです。毎度毎度、有給休暇を職員さんに周知するのは大変なので、社会労務士の先生に丸投げして良いと思います。
『成金の獲得は相当に大きいです。入職してからは、給与形態を時給計算してパート形態で雇用し、その後、正社員として採用すると、50万円程度の助成金が貰えます。(自治体で異なります)
入職予定の看護師さん、事務員さんに助成金について正直に話して勤務調整しないと、只の損です。しかも、従業員さんに何の迷惑も負担も掛かりません。
酷い社会労務士の先生は、面倒臭いので知らないフリをしていることがあります。要注意です。
ホームページによる募集を行う。
医師会の委員のクリニックは、閑古鳥クリニックまでは行かないですが、まあ、大したことないクリニックばかりです。医師会の役員するくらいですので、世話好き、役職好きだと思います。
大したことないというのは、まず、事業規模が小さいです。職員さんの募集、集患に力を入れていないですし、医者としての旬を終えています。
大したことないと決める要素で一番大事なもは、成長を求めていないということです。たとえ、患者さんが少なくても、助業規模が小さくても、経営者が高齢でも、常に時代に合った業務を行うように努力し、情報戦を戦い抜く覚悟がある場合、「大したことあります」。
そういう意味で、医師会の高齢な委員は、成長を諦めているので、大したことないと判断しています。
そういうクリニックには、ホームページすらありません。なので、相変わらず、
●人材紹介・人材派遣会社に頼る。
●基本給、昇給すら、医師会の早見表で適当に決める。
●事業に成長が期待できず、先がない。
●顧問の社会労務士は居らず、『就業規則』は昔のまま放置されている。
こういう医者が沢山居るのはチャンスです。看護師さん、医療事務さんは、スマホを使って職場を調べる世代ばかりに成っています。ですので、積極的にホームページに採用ページを作ります。
独力でホームページを作った先生でしたら、採用ページを作るのも簡単だと思います。当院は、ホームページ制作会社に委託しましたので、
○業務募集の案内。
始業時間、勤務内容、お給料、有給休暇など記載。
○応募フォームを準備し、いつでも募集の窓口をオープンにしておく。
○ホームページを見ると、院長の顔や雰囲気、クリニック、職員さんの雰囲気が分かるようにすること。
これが最重要だと思います。
●ホームページが無いだけで、応募を見送る時代です。
ホームページを開いて、興味を持ってもらわないと、職員さんの獲得競争には勝てません。採用条件、勤務形態については、その次です。
◉ホームページを開いて、採用中と分かるようにアピールする。
◉募集業務の勤務形態を具体的に記載する
パートさんの勤務時間、始業時間、短時間型常勤の業務時間、常勤採用の場合の勤務時間などを具体的に明記しておく。
◉現在の職員さんの人数を記載する。
此処で、職場環境整備に力を入れているか?入れていないか?差別化できます。嘘は良くありません。正直に記載しましょう。
1日の外来患者さんの大体の数を載せる。少なめに記載したり、多めに記載したりせず、正直に記載しましょう。
◉従業員さん数名に協力してもらって、似顔絵付きのコメントを載せる。
これが凄く好評でした。名前は載せず、看護師さん、医療事務さん、2名ずつ、ホームページに似顔絵付きでコメントを載せてます。
もちろん、似顔絵付きコメントのために、2万円のお手当をお支払いして、お土産に似顔絵シールを渡してます。
皆さん、子供さんに喜ばれていました。職場を改革するのは、大変ですけど、阿鼻叫喚、戦禍のような職場になるより楽しいです。良い医療を提供し、職員さんを採用し、ガンガン、収益を上げるのが明確な目標です。
ちなみに、当院が得ている助成金は、キャリアアップ助成金です。パートさんを採用し、採用後8ヶ月後から正社員にすると得られる助成金です。
キャリアアップ助成金は、約50万円です。10%を顧問の社会労務士の先生に支払い、残りを従業員さんの接遇研修、セミナー費用に充てています。
こういうお金を会社の懐に入れては成長できません。全て、職員さん、職場に使い切る気持ちが良いと考えています。ご参考いただけますと幸いです。
良質な医療を提供し、良好な職場を構築するように努力すると、職員さんだけではなく、患者さんも集まってきます。世の中、真面目に頑張っていると報われることもあると痛感しています。