インフルエンザワクチンの接種状況
インフルエンザワクチンの接種数は、2021年シーズン、850接種行いました。
医師会の規定で、「インフルエンザワクチンの値段=5300円」なのですが、そんな高い値段で接種できませんので、「変動相場(価格)制」ですが、これは良くないとされています。しかし、ほとんどのクリニックは、患者さんに応じて値段を変えています。
小児科の先生は、3500円〜4500円で接種していますが、子供さんが3人のママさんだと、内緒で1接種=3000円とかにしています。子供さん3人、1人2回接種なので、6回分。医師会規定だと、5000円以上×6回=3万円超えます。これは、流石に高いです。値引きは、患者さんにとって、非常に助かることです。
逆に、3000円で接種しても利益は出ます。地域差がありますが、「インフルエンザワクチンの原価=1接種=1650円」です。
医師会規定で接種すると、1接種当たりの利益=5300円-1650円=3650円です。結構、儲かるものです。3000円で接種しても、3000円-1650円=1350円の利益が出ます。
ただ、値引きする先生のクリニックは、インフルエンザワクチン接種による利益に期待せずとも、通常診療で利益を上げているので、ガツガツしていないです。
65歳以上の方は、行政地区によって違いますが、自己負担:無料〜1500円でインフルエンザワクチンを接種できます。ですので、この方々には、5300円で接種しようが、3000円で接種しようが、患者さんの負担は変わりません。自己負担以外の費用は、県、市などの自治体が出しますので、5300円にしておいた方がお得です。
インフルエンザは流行していないけど、インフルエンザワクチン接種の希望者は変わらない。
内科、小児科、整形外科(デイサービス、リハビリ経営の先生は特に)などの医療機関では、インフルエンザワクチンは、「期間限定の特需」ですので接種数を増やしたいはずです。
当院は、「近くの自動車会社さん」、「税務署」、「警察署」、「行政」、「医師会」の職員さんに接種をおこなっています。契約というより、長年の慣習です。
特に官公庁、行政関連は、職員さんにインフルエンザワクチン接種を推奨していますし、黒字の会社は、職員さんのインフルエンザワクチン接種費用を「福利厚生」で出しているので、「5000円」でも接種されます。
話は変わりますが、当院は、産業医の資格を持っていません。しかし、かかりつけ患者さんを既に獲得しているので、産業医の資格を取ったり、産業医として企業と契約する気はありません。この辺が、「継承開業」による「医療地盤」の強みです。
逆に、「新規開業」の先生は、産業医の資格を取って、産業医として企業と契約する方法が集患に繋がるように思います。医師会には、地元企業から産業医の先生の紹介依頼が来ます。医師会員が勝手に企業と契約できないように規則で縛っていますので、抜け駆けできません。(相手企業が、医療機関を指名してくることはあります。)
話がそれたようですが、実は、集患とインフルエンザワクチン接種数は相関するので、「新規開業」の先生は、産業医となり、その会社の職員さんのインフルエンザワクチンを接種したり、新規接種希望者の獲得を頑張った方が良いと思います。ただ、値段を下げて集めてしまうと、その後、同じ値段で接種しないと、悪評の原因になったり、逃げてしまいますので、よくお考えの上、集患努力をされた方が良いようです。
インフルエンザワクチン接種の情報戦に勝利したって根拠は何なのか?
卸業者さんによっては、「今年は、ワクチン総量が少ないので昨年の70%程度しか納入できません。」と、早くから、病院、クリニックに宣言しまくった卸業者さんがありました。結果、ワクチン、余っていました。
具体的は数量は省略しますが、2021〜2022シーズンのワクチン供給率は、昨年の「83%」と分かっていました。でも、「83%」の理由は、昨年、「コロナとインフルエンザの同時流行」と国が煽りまくって、インフルエンワクチンの無料接種を起こったり、エッセンシャルワーカー、医療従事者に1000円で接種したりしたので、供給数が市場空前だっただけでした。
実際、2021〜2022シーズンのインフルエンザワクチンの供給量は、2018年より多く、2019年より少し少ない程度でした。「コロナとインフルエンザの同時流行」、「今年、インフルエンザが大流行する」と、国、マスコミが煽りましたが、実際、身近でインフルエンザは発生しておらず(定点観測でも昨年以下)、インフルエンザワクチン接種は増えませんでした。
さらに、2020〜2021シーズン、特別に行われた、「エッセンシャルワーカー」、「医療従事者の方」へのインフルエンザワクチン補助も無くなり、65歳以上の方も自己負担1500円(自治体によって異なる)なわけです。
以上から、当院は、「インフルエンザワクチン接種を希望する方は、2018〜2019年と同じ程度であろう」と予測しました。
「83%」供給とは名ばかりで、例年通りであると自信をもって、接種を希望する方が来院されても全く断らずに接種しました。
ここが大きかったです。インフルエンザワクチン接種は、10月から11月中旬に殺到しますから、「かかりつけの患者さんと予約以外の方は接種しません」と宣言して、希望される方のインフルエンザワクチン接種を断ったクリニックが多発しました。
本当に接種数を「卸業者さんの言う通りに70%に落とした」わけです。
当院では、上記理由で「今年、インフルエンザワクチンは12月になったら余り始める」という予想で、新規の方であろうが、予約無しでもガンガンに接種しました。更に、「仲良しの会社の方」、「税務署」、「警察署」の方に待っていただき、在庫を見ながら段階的に接種しました。
勝利を確信したのは、12月6日、卸業者さん2社が、「インフルエンザワクチン、大丈夫ですか?」と尋ねてきた時です。「20人分」を追加し、接種するであろう方、全員分のワクチン確保に至りました。
例年の70%に接種数を落としたクリニックは、年末から接種を焦っても接種する方はいません。当院は、ガンガンに接種しましたから、例年通りに接種出来ました。
こういう情報戦は、すごく大事です。卸業者さんの言う通りに動かないほうがいいです。
「国と喧嘩するな」という相場格言がありますけど、「当院の情報源」は、「厚生労働省のホームページ」、「市町村、保健所のホームページ」に、「例年のワクチン供給数」、「今年の供給数」が記載されていました。これだけです。
別に医師会の役員、行政の仕事をしていなくても、情報を獲得することで、ざっと、100人分程度のワクチン接種数が異なるってことを自覚しました。単純に5300円×100=53万円です。経営者の情報戦で53万円も違うのです。
情報は、お金であることを痛感しました。